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コールセンターのちょっといい話

VOL.95 コールセンターのROI講座:最終回 ~その3~

新シリーズでお届けしています「コールセンターのROI(Return On Investment)」
今回の新シリーズの反響・アクセス数が通常のブログよりも約150%と非常に高い推移になっています。昨今は非常に便利なITソリューションも多種多様にありますし、リモートワーク体制を構築するにも色々なシステム投資が必要になってきますので、今回のようなコールセンターのROIの考え方は稟議書を作成する上でも、センター長・マネジャーがセンターの最適化をプランニングする上でも不可欠の要素と思います。
そこで、実はリックテレコムさん主催で毎年実施しているコールセンター実践講座で、この4月に新講座としてこの「コールセンターのROIも含めたKPIマネジメント講座」を開催します。今回のROI算出のプロセス解説・実践演習はもちろんの事、離職率改善によってもたらせる効果とそのアプローチ術、処理時間効率化に向けたPDCAアプローチ術など、実践的かつセンター運営・効率化に大きく貢献できるKPIマネジメントの新講座です。今回から受講特典としてアーランC式簡易計算エクセルシート、テンプレートの他に、さつき先生と2時間無料のオンライン相談会のサービスもありますので奮ってご参加下さい。

 

講座:KPIの実践的活用講座~改善プロセスからROI算出まで~

実施日:4月23日(金)10時~17時

実施形態:Zoomを使ったオンライン研修

詳細・申込みはここをクリックして参照下さい

 
さて、前回「FAQシステム導入」を前提として「効果の算定指標」として①:生産性効率、②:コース数削減によるコスト削減、③:離職低減によるコスト削減を解説しました。(詳細は~その1~から読み返すと分かり易いと思います)
①:生産性効率:AHT短縮

FAQシステム導入で1件10分のAHTが9分に60秒短縮したと想定
{60秒X 300,000(本)}/3600(秒)=5000(時間)X3000円=1,500万円コスト削減

 

②:コスト削減:コール数削減

FAQシステムを外部公開してお客様が自己解決して入電を5%削減したと想定
年間:30万本の受付、CPC:1000円、コールの5%がFAQで自己解決と想定
300,000(本)X5%X1000円=1,500万円のコスト削減

 

③:コスト削減:離職の低減(詳細は前回のブログを参照下さい)

新人の離職を「採用コスト」、「研修コスト」、「研修講師コスト」に分割。
1番:採用コストは一人:3万円と想定。
2番:研修コストは75万円と想定
3番:研修講師コストは5万円/人と想定 
(1番+2番+3番)=83万。現在離職率:30%(15人)から20%(10人)に10%改善したら。83万円X5人=415万円のコスト削減に貢献と解説しました。

 

上記を整理するとFAQシステム導入により、①:1,500万+②:1,500万+③:415万=約3,400万/年のコスト削減が可能となります。(あくまでも上記のシミュレーション上の想定計算です)
 
【かかる経費は】
一方でかかる経費としては、FAQシステム導入のイニシャルコスト:仮に1000万(減価償却は考慮しない)とします。そして~その1~でも説明しましたが、FAQシステムの運用には「ネタだし調整⇒FAQ作成⇒分析調査⇒検証⇒新規FAQ作成・削除作業・・」など結構な工数がかかります。ここでは初年度3名のアサインが必要とします。人件費:500万X3人月=1500万/年の費用が必要になります。2年目以降も同様に3人月の工数とすると、人件費は最低でも毎年1500万必要になります。
 FAQシステム導入効果 金額試算表
上記のグラフは単年度効果と4年累計効果を金額で示しています。
私の勝手な想定として、システム導入初年度は上記:3400万の効果は半分=1700万と試算、2年目に最大効果が表れ:3400万、3年目:削減効果が薄まる(逆に効果がUPする場合もある)、4年目:更に削減効果は多少薄まる(逆に効果がUPの場合もある)
今回のシミュレーションでは、一見すると年間:3400万のコスト削減効果があって“すごい!”という印象を持つと思いますが、今回のシミュレーションでは経費と効果を4年累計で試算すると約3000万のコスト削減にしかなりません。(以外に少ないなぁ?と思った方も多いと思います)この削減効果をどこまで出せるか!やメンテ人件費をいくら投入するのか!のさじ加減一つでこのグラフの金額は大きく変化しますので、ここは各社・各マネジメントの戦略・想定シミュレーション次第だと思います。
 
今回の3回のシリーズではFAQシステム導入効果のROIについて解説しましたが、今回は初歩的なコールセンターのROI術です。本来はもっと詳細に行いますが、こういう基礎的な知識から初めて自社に合わせて応用していくと、上司・経営層への稟議の承認確率も高まると思います。
是非とも、新規システム・ITソリューションの導入稟議の参考にして下さい。下記の実践研修にてブラッシュアップすると効果的と思います。
 

講座:KPIの実践的活用講座~改善プロセスからROI算出まで~

実施日:4月23日(金)10時~17時(オンラインで実施)

詳細・申込みはここをクリックして参照下さい

 
弊社サービスとして、新規システム導入の際の稟議書作成サポート・効果検証のサポート・アドバイスも行っておりますので、ご相談のある方は下記よりご相談下さい。
お問い合わせ|コールセンターの課題解決の相談は・さつきソリューション (satsuki-sol.com)

2021年02月08日 09:40

VOL.94 コールセンターのROI講座:実際の計算方法は ~その2~

投資対効果 2枚目
前回からの新シリーズ「コールセンターのROI(Return On Investment)」
反響としては「立場的にこのようなROI計算する事は無いので難しい!」という声と、「前回のFAQシステム導入稟議の時にこういう基礎知識を知っていたら却下されなかったかも?」、「会社では教えてくれない内容なのでもっと知りたい!」という双方の声を頂きました。確かに現場で電話対応を中心に応答率管理やモニタリングによる品質管理などで日々忙しくしている方にとってはあまりなじみが無いですが、確実に今後のコールセンターはITシステム化・デジタル化の波が来ますので、次のシステム導入の際には必ず参考になると思います。
 
前回「FAQシステム導入」を前提として「効果の算定指標」についてまとめましたが、今回は実際にどんな計算式で効果指標を計算するのか、その概要を説明します。
【シミュレーションの前提の数字】
受付処理件数:年間30万本、1件の平均処理時間(AHT):10分、1本辺り単価(CPC):1000円、1時間当たりコスト:3000円、新人採用:1回10人、研修期間(OJT含む):1ヶ月、在籍オペレーター:50人とする。
 
①:生産性効率:AHT短縮

FAQシステム導入効果によって1件10分のAHTが9分に60秒短縮された場合は。
{60秒X 300,000(本)}/3600(秒)=5000(時間)X3000円=1,500万円コスト削減
 

②:コスト削減:コール数削減

仮にFAQシステムを外部公開して、お客様が自己解決して入電を削減するシミュレーションになります。一番のポイントはコールセンターでCPC(Cost Per Call:1本あたりの単価)のような経営指標を事前に把握する事です。1本あたりの単価を把握していれば、削減コール割合に応じて概算のコスト削減額を算出する事が可能です。CPCに関しては過去ブログで解説していますので次のリンク先を参照下さい。Vol.6Vol.7Vol.8
年間:30万本の受付、CPC:1000円のセンターにとって、コールの5%がFAQで自己解決してくれれば次の計算式のように、年間:1500万円のコスト削減に貢献します。
300,000(本)X5%X1000円=1,500万円のコスト削減
10%に自己解決率が上昇すれば2倍の3,000万円のコスト削減に貢献度合いが上昇します。
 

③:コスト削減:離職の低減

ここではFAQシステム導入効果により自己解決率の向上や学べる環境が整備された効果で特に離職率の高い新人オペレーターの離職率が改善して離職者が減少したとします。私の実践研修では正式な「離職ロスコスト計算式」を紹介していますが、今回は下記の簡略版で計算します。
大凡一人の新人社員が数ヶ月で離職して失われるコストとしては「1番:採用コスト」、「2番:研修コスト」、「3番:研修講師コスト」があります。

1番:採用コストはどんな媒体で募集しているによりますが、概算で一人:3万円とします
2番:研修コストは、研修期間:1ヶ月+(半人前0.5X3ヶ月)X単価30万円=75万円と仮定
3番:研修講師コストは、(1ヶ月X単価50万)÷10人(受講生)=5万円(一人当たり)
新人一人が離職するロスコストは上記1+2+3=83万円/人
現在離職率:30%(15人)から20%(10人)に10%改善したら。83万円X5人=415万円のコスト削減に貢献する事になります。
これが研修期間や半人前から一人前になるまでの期間が更に長い場合は一人の離職が100万以上のロスコストになる事になります。
昨年のコールセンター白書2020の考察でも紹介しましたが、現時点においてはコロナの影響で職を失った飲食業・サービス業などの受け皿として採用状況・離職状況は改善されているようですが、これも一過性の現象だと考えています。本当に新人も中堅もベテランも1人辞める事の影響は非常に大きいですので、一人でも理不尽な理由での退職を防ぐ努力は大切と思います。

最終的に整理すると、FAQシステム導入効果によって、生産性(AHT)が60秒短縮され、外部公開でお客様の自己解決率5%のコール数削減、そして、離職率を30%から20%に改善できれば、①:1,500万+②:1,500万+③:415万=約3,400万/年のコスト削減に貢献する事になります。
正直今回の削減効果は控えめな予測ですので、実際にはもっと大きな削減額になってもおかしくありません。これらの効果をどのようなさじ加減でシステム導入前の効果検証とするかは各社・各担当の調整次第ですが、せめてFAQシステム導入効果の効果指標としては最低限これらの事は訴求した上でシステム導入の稟議を進めると効果的と思います。
 
今回は簡易的な概算シミュレーションとして紹介していますが、これで完了というわけではありません。まとめは次回で紹介します。
弊社サービスとして、新規システム導入の際の稟議書作成サポート・効果検証のサポート・効果を最大限にする運用相談も承っています。ご相談のある方は下記よりご相談下さい。
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2021年01月25日 10:24

VOL.93 新シリーズ:コールセンターのROI講座 ~その1~

投資対効果1枚目
前回ご案内しましたように今回から「コールセンターのROI(Return On Investment)」についてシリーズでお届けしていきます。
昨年のコロナ禍の中、各コールセンターでも在宅勤務体制へいち早くシフトしているセンターもあれば、検討だけでなかなか進捗しないセンターも多くあるようです。また、在宅勤務体制へのシフトと同時並行に検討されているのが、コールセンターのデジタル化です。FAQシステム、チャット(ボット)システム、音声認識系ソリューション、AIソリューションなどは今やコールセンター運営支援システムとしては欠かせないシステムです。
しかし、一声数千万の投資になってきますので、「便利なので導入したい!」、「他社も使っているので・・」、「導入したら効果的そう・・」という曖昧なアピールだけでは経営層の承認が得られないのも現実です。やはりポイントは、投資対効果(ROI)をきちんと訴求できるかどうかにかかっていると思います。このROIの訴求があまり効果的でないために、最終的に経営会議で承認されなかったケースは良くあります。そこで今回から「コールセンターのROI講座」としてポイント解説していきます。しかし、ブログでは解説しにくいテーマでもありますので、なるべくポイントを抑えて有益な情報をお届けしていきます。
 
代表的な事例として現在、エクセルや紙ベースのFAQ運用をFAQシステムに乗せ換えを行いたいケースを考えます
●効果の算定指標は適切か?
効果の算出にあたり、まずほとんどの方がピックアップするのが「生産性効率:AHTの削減効果」だと思います。これはFAQシステム導入効果の欠かせない要素の一つですので、これはしっかりと目標の削減効果を3段階ぐらいに分けて数値化していくべき効果指標です。次にFAQシステムの運用の仕方次第ですが、社内だけでは無く、社外のお客様向けにも提供できれば「コール数削減のコスト削減効果」にも大きく貢献できます。コールセンター白書2020の中でも、お客様が問題に直面した際にその会社のHPのFAQをまず参照しに行ったという割合が約70%ありますので、もはや自社のHPでFAQを開示・提供しない会社の方が珍しい状況です。HPへのアクセス数・FAQページへのアクセス数・解決率などを参考に「コール数削減:コスト削減効果」もしっかりと効果として計算するべきです。ではこの2つの効果でFAQシステムの効果の算出は十分かと言うと、まだ他にも効果指標があるはずです。
FAQシステムは新人離職率の低減にも効果を発揮するはずです。新人離職の大きな要因として、入社後の詰め込み型の座学研修を経て現場で着座対応する際に、わからない点は都度都度SVに手上げで質問しなくはいけませんが、自分一人での自己解決が実感できないというストレスが早期の離職に至る要因の一つという事は以前から指摘されています。そんな自己解決の実感を早めてくれるのが社内でのFAQシステムになります。最近の事例ですが、在宅勤務体制を視野に入れて、新人研修の際のビデオ映像をテーマ毎、質問内容に合わせてライブラリー編集していつでも・どこでも視聴できるFAQコンテンツの提供で、新人離職率の低減を実現したセンターもあります。新人・中堅層の離職防止にも貢献する事が期待できますので、ここの効果も盛り込みたい要素です。更には、正確かつ迅速な応対による応対品質の向上により顧客満足度の向上、NPSの向上、売上の向上にも貢献するはずです。
FAQシステムというと、どうしても生産性の向上:AHT削減とコール数削減に目が行きがちですが、他の効果指標にも着目して効果を算出する必要があります。

投資対効果 2枚目
●投資費用の見積は適切か?
次に投資費用の見積ですが、ここも適切に見積もられていないケースが散見されます。一番大きな投資費用はシステム導入時のイニシャルコストと思いがちですが、決してそうでは無いです。例えばわかりやすくざっくり計算になりますが、FAQシステムのイニシャルコスト:1000万円、年間の保守費用:100万として投資費用が初年度:1100万、2年目から100万・・・・になるかというと決してそうでは無いです。
FAQシステムの運用には「ネタだし調整⇒FAQ作成⇒分析⇒検証⇒新規FAQ作成・削除作業・・・」など結構な工数がかかります。初年度は最低でも2名のアサインが必要だと考えると、人件費:500万X2人月=1000万/年の費用が必要になります。2年目以降も同様に2人月の工数がかかるとすると、人件費は最低でも毎年年間1000万必要になります。FAQの運用は主にベテラン社員が行う事を考えたら、もっと高い人件費がかかるかも知れませんし、もっと高い運用コストになるかもしれません。しかし、FAQシステム導入稟議の時点で、このFAQ専任の人件費・メンテナンスコストを見積もらずに、導入後に片手間のSVリソースだけで運用しているようだと効果も半減してしまいます。そして、このような必要な工数費用も計上しておかないと、正確な投資対効果を図る事が難しくなります。
 
今回は、概論だけに留めましたが、次回は具体的な計算根拠やシミュレーション数値を用いながら解説したいと思います。

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2021年01月13日 10:00

VOL.92 コールセンター・オンライン研修の紹介・コールセンターのROIについて

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年はコールセンターブログを35本:月に約3本ペースで掲載してきました、今年も同様のペースでコールセンターとビジネス研修に特化したブログ記事を書いていく予定です。
 
昨年はとにかくコールセンター業界もコロナ禍の中で特別な1年だったと思います。あまり良い表現では無いですが、“時代の変革は災害・戦争によって加速する”という言葉がありますが、まさにコロナの影響でコールセンターのリモート化の加速、デジタル化の加速、顧客・従業員満足度の再定義などあらゆる面で大きな変革のあった1年だと思います。
 
コールセンター業界も大規模イベント・集合型の研修が軒並み中止になっておりますが、今回は自宅・コールセンター内の会議室からでも受講可能なオンライン研修を紹介します。新型コロナウイルスの影響で、外部の専門機関でコールセンターの知識・スキルを学べる機会が減っていますが、日々進化するコールセンターの運用・システムなどは常にキャッチアップしていかなければなりません。また、東京・大阪会場での実施だと前泊や長距離移動など時間の無駄が発生しますが、オンライン研修だと効率的に受講可能です。
今回はリックテレコムさん主催でZOOMを使ったオンライン研修ですので、座学研修同様にオンライン上でグループに分かれてグループディスカッションも可能です。ほぼ座学研修と同じ環境で他社の方との交流も可能ですので、この機会に受講の検討をお願いします。(既に約10名の受講者が確定しています)受講対象者はSV以上(マネージャー・センター長さんでも、異動後1年未満で専門的な知識を習得していない。一度体系的に学びたいという方も歓迎です)
 
●1月20日(水)(10:00~17:00)コールセンター運営の基本知識とマネジメント入門講座
詳細はここを参照
 
こちらのメーリングリストの方は過去にCRMデモ&コンファレンスの実践講座を受講された方が多いと思いますが、カリキュラム内容はブラッシュアップは重ねてますが概ね一緒です。受講内容を振り返ってもらってご自身の部下や同僚などで参考になる対象の方(最近コールセンターの管理職になった方には特に有効です)などいましたら是非ご推薦いただければと存じます。
 
ご案内
来週から新年の新シリーズとして「コールセンターのROI(Return On Investment)」について記事をまとめたいと考えています。ROI:投資収益率などと訳されると思いますが、コロナ禍の中チャットボットやFAQシステム、音声認識系ソリューション、AIソリューションなどデジタル化に向けた検討は行われていると思いますが、一声数千万のシステム投資になりますので、経営陣からなかなか承認が得られないという声も聞きます。闇雲に「○○システムを導入したい!」、「便利なんです!」と訴えても簡単に承認されないのも事実です。やはりポイントはしっかりとROIを数値化して訴求できるかにかかっています。そこにはコールセンター運用に精通していないと経営陣をなかなか説得するのも難しい現実がありますので、そこに向けた「コールセンターROI訴求編」をお届けしたいと考えています。
2021年01月05日 11:30

Vol.91 「コールセンター白書2020」の考察 VOCならぬ、AOCとは何か?<その5>

マトリクス
前回は導入済ITソリューションの前年比の伸び率として「チャットボット」が一番の上昇率になっている事。また、今後導入予定のITソリューションでも「チャットボット」が一番高い割合になっているが、お客様目線で言うと、実に「使えないチャットボットが氾濫している!?」というブログを書きました。
 
そこで、最近のナレッジマネージメント・チャットボット関連のセミナーの中で共通語として言われている事をまとめてみます。まず、チャットボット運用で失敗してしまう代表的なケースをあげてみます。
①:あれも・これもと範囲を拡大しすぎてしまうケース
FAQ掲載数とチャットボットでの解決を同様に考えてしまうケース。折角だから(呼量削減のために)、チャットボット対応範囲を拡大しすぎているケース。そもそも、有人チャットもチャットボットも呼量削減を目的に掲げている時点で本質とのズレが生じています。これも最近専門家の方が解説していますが、今までの電話・メールでコンタクトする層とは別に、チャット利用者は問い合せの心理的なハードルが低く、ある程度の即時性があるので(今まであまり問い合せしてこなかった)サイレントクレーマーの声を拾う事に有効と言われており、逆に顧客の声の収集に寄与しているチャネルでもあるので、闇雲に「呼量削減」を目的に運用設計を開始すると、失敗するというケースです。実際に有人チャット・チャットボットサポートを開始してから、問い合せ総数が増加したという話は良く聞きます。また、一般問い合せよりも、下記の図のように手続き処理系(通販の発送状況確認・変更届け/請求手続きなど)に有効なチャネルと言われています。冒頭の図に掲載していますが、チャネルの特性をきちんと見極めるというのがポイントのようです。 
RPA
②:チャットボットだけで解決に導こうとしてしまうケース
FAQの延長線で考えて、一問一答形式でチャットボットだけで解決に導こうとしてしまうケース。もしFAQの延長線で考えるならば、初心に返って今のFAQの検索精度やコンテンツの充実を図り、徹底的に「使える・賢いFAQ!」を目指した方が賢明という考え方もあります。最近ではチャットボットならでの機能をより最大化するためにRPA(Robotic Process Automation)との組合わせによって成果を出している事例が増えてきています。この組合わせの実現によって、現場の作業の効率化も図れて、顧客目線でもエフォートレスの実感が得られます。 (上記の図参照)
AOC
そして上記の2つに共通しているキーワードは「AOC(Activity of Customer)」です。長年にわたり「VOC(Voice of Customer):顧客の声」の分析の重要性が叫ばれてきましたが、ビッグデータやAI技術全盛の時代にあって、もはやVOCだけでお客様の状況を把握するには乏しい状況です。お客様が問い合せする目的な何か?(一般相談・テクニカルサポート・手続き処理・クレーム・・・etc) お客様の置かれている状況はどうか?(自宅・外・会社・固定電話・携帯電話・平日・休日・夜間・・・etc) パーソナリティーは?(若者・高齢者・初心者・ベテラン・・・etc)いわゆるペルソナ分析と同様な事ですが、よりお客様目線に立った分析が必要です。(上記の図参照)
これらの顧客行動を「認知⇒購入検討⇒購入⇒利用⇒相談・苦情⇒アフターサービス」をフェーズ毎に整理して問い合せ対応を考える時代に来ています。
もちろん、コンタクトリーズンの把握・分類においてはVOC分析で事足りると思いますが、もう一歩踏み込んで「AOC分析」まで行う事により、真の意味でCX(カスタマーエクスペリエンス)の実現が達成されるのではと思います。
冒頭のチャットボットの利用にあたっても、このブログでも再三に渡り書いてきましたが、システム導入ありきで設計するのでは無く、きちんとした運用設計を行い、コンタクトリーズンの分析・AOC分析を経て、有効なチャネルとして活用されているかの効果検証を行う事が必要です。そのためには、SVが兼務でマネジメントするという片手間でできるものでは無いので、是非センター内でFAQ/チャット運用の専門家の育成をする事が重要だと思います。
コールセンター白書2020

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2020年12月22日 10:00

Vol.90 「コールセンター白書2020」導入(予定)のITソリューションは?<その4>

コールセンター白書(チャットボット1)
引き続き、先月に戻って「コールセンター白書2020からのデータ考察」を行います。
今回は毎年定点観測として同じ質問をしている「導入済(予定)のITソリューションは?」はですが、これもコロナ禍の影響を如実に反映した結果になっています。導入済ITソリューションの前年比の伸び率としては「チャネル統合型ソリューション」・「チャットボット」が一番の上昇率になっていますまた、今後導入予定のITソリューションでも「チャットボット」が一番高い割合、次に「(有人)チャットシステム」、「音声認識系ソリューション」が続きますが、有人から無人の自己解決率の向上・在宅でもサポートできる遠隔サポート機能・ナレッジサポートで現場の負荷軽減を図っていこうという意図が読み取れます。ここ数年の傾向として有人チャット・チャットボット・音声認識系ソリューションの人気は定着していますが、今年はその人気に一気に拍車がかかった結果だと思います。このブログでも再三に渡り取り上げていますが、昨今のコールセンターを取り巻く環境変化・コロナ禍で3密を防ぐ施策として、FAQ/チャットボット業務設計に欠かせないナレッジマネージメント力の強化・デジタル化の波は避けては通れない状況です。
 
しかし、各コールセンターの人気とは裏腹に、お客様目線で言うと、実に「使えないチャットボットが氾濫している!?」という声も根強くあります。私も各社のチャットボットを使った経験で言うと、「二度とその会社のチャットボットサポートは使いたくない!」という経験の方が多いです。ではなぜ、巷のチャットボットは使えないケースが多いのでしょうか?この問題に対して起承転結で説明するには、このブログの中だけでは十分に語るのは難しいので、是非、最近毎月のようにITベンダーなどで実施されている、チャットボット・FAQの効果的運用・ナレッジマネージメントの実践などオンラインセミナーに参加してその要因を皆さんなりに把握・理解する事をお勧めします。大体どのセミナーでも同じような背景・問題提起・そして解決策まで詳しく解決してくれるセミナーが多いです。(私も勉強のためこの3か月で5つのセミナー聴講しています)

コールセンター白書(チャットボット2)
今回はそもそも論として、自社で活用しているチャットボットもFAQも同じナレッジ生成元から引用してきていると思いますので、その点について触れたいと思います。上記の円グラフにもあるように、そもそも自社サイトに掲載されているFAQがいけていない場合は、そのFAQを見て解決しなかったお客様が次ぎにチャットボットを使ったナビゲーションで解決しようとしても、解決しないのではという問題です。むしろお客様は「FAQ検索」⇒「チャットボットサポート」というアクションを続けながら結局解決しないのであれば、その分余計に手間取ったという悪い印象を抱くはずです。そして、初めの経験でこのチャットボットは使えないなぁ?という印象を持たれると、今後二度と使われなくなってしまうという悪循環を起しているリスクがある事です。
いわゆるFAQは「検索機能を活用して目的の回答を表示させる機能」であるが、チャットボットは「コミュニケーションを通じて目的のコンテンツを案内させる機能」であるので「会話デザイン」というプロセスが必要になってきます。この機能特性の違いをきちんと理解しないまま、FAQ作成の延長線でチャットボットを設計してしまうと失敗してしまう要因の一つになっています。この点に関しては上手く機能しているチャットボット設計をしているコールセンターの共通点として、以下が上げられます。
・まず「FAQ」が使える状態(顧客評価が高いなど)になっている。(新規作成から分析、評価・不要なFAQの取り外しなど専門のチームで運用を行っている)
・FAQとチャットボットは別々のチームで分析、評価、運用を行っている(完全に独立しているという意味では無く、共通部分は共有しながら、作成からUPまでの行程・運用手法は別物として運用しているという意味)
そもそも、自社サイトのFAQが上手く機能・顧客評価が高くないコールセンターで構築したチャットボットは機能しないという点です。
 
ちょっと今回は表面的な課題提起になっていますが、是非、自社サイトのFAQ・チャットボットの評価・棚卸しを行う機会にしてもらえればと思います。(次回ブログでもう少しこのテーマは深掘りをする予定です)
 

 コールセンター白書2020に興味がある・購買希望の方は下記を参照して下さい。

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2020年12月08日 16:00

Vol.89 伝説のセンター長が語るアフターコロナのマネジメント <その2>

伝説の・その3
前回に引き続き11月12日にCRMデモ&コン2020で開催の「伝説のセンター長が語るアフターコロナのマネジメント」の当日の内容をダイジェストでお届けします。
前回のブログではコロナ禍で起きた変化として「物事の優先順位が変わった!」と説明しました。「お客様」・「会社」・「社会」・「社員」の4つの優先順位の変化について、品質についても「応答率・繋がりやすさの追求」から、“メール・チャットのノンボイスサポート”への切り替え対応、FAQ対応などアクセスチャネルの多様化が進んだ事。優秀なSV・マネジメントの定義については、手上げ対応・エスカレーションの際のサポート力のみならず、どのナレッジをどのように検索して解決していくのかのナレッジ活用法や解決手法の習得などナビゲーション手法に期待する声や、今まで以上に精神面・メンタル面のフォローを期待する声が多い事などを紹介しました。
 伝説のセンター長映写資料1
この点に関して、参加者からも特に今後のマネジメントにおいて在宅化の選択肢は必要不可欠として、マネジメントのメンタル・フォローは特に重要と指摘していました。ただし、アウトソーサーの立場としては、やはりクライアントの意向次第という点があるので、なかなか先行投資を行い在宅体制に投資してくのも難しいとのコメントがありました。委託規模の大小、テクニカルサポート/受注受付/アウトバウンドなど種類も豊富なので、総合的な判断が求められます。しかし、「ナレッジマネージメントの重要性」に関しては間違い無くこのコロナ禍の中で最も痛感した「気づき」であったという事は共通していますオペレーターを間引いて応答率を下げざるおえない場合も、リモートシフトする場合も共通する重要な要素は「FAQをベースとしたナレッジ」です。ナレッジ無くしてメール対応もチャットボットもAIも音声認識も機能しません。一方では上記の掲載してある円グラフにあるように、“使えないFAQ・FAQそのものが無いコールセンター”が多いのも実情のようです。この辺りはFAQ対応チームを専任化してスペシャルチームで対応しているセンターと、SV兼務・ローテーション対応しているセンターでは如実にその差は歴然と表れてきていると思います。
 
冒頭のスライドをご覧下さい。実は今回の「アフターコロナのマネジメント」で私が特に伝えたかったのが組織における「コールセンター本部長・執行役員・部長クラス」の重要性です。今までもブログで再三にわたり問題提起してきた、生産性の向上問題、離職率の悪化問題、採用難の問題、売上貢献問題、及び経営から認められないコールセンター問題については、ここのポジションの力量が非常に重要だと思います。コールセンター歴10年以上とかの業界経験があることに越した事はありませんが、業界経験が少なくとも、3年後・5年後にどんなコールセンターにしよう!という「Vision策定力」から始まり、ある程度の業界知識・最先端システムの動向、優秀なコールセンター人脈ネットワークから学ぶベストプラクティスは最低限必要になってきます。そして社内に目を向ければ、どうしてもデジタル投資する際や業務量に見合った人件費の予算獲得は必須ですので、その予算獲得術・役員/部署間の調整能力も重要になってきます。そして予算を獲得するための「コールセンターのROIの組み立て」など問題解決力が問われてきます。ここ最近の状況を見ても、優秀なコールセンタートップマネジメントがいるセンターはいち早く在宅化の稟議を通し・デジタル化の推進・人材定着のための様々な打ち手を講じています。どうしても金融機関を筆頭に数年単位でのローテーション人事が主流の日本では、2~3年在席したらまた新任のトップマネジメントに交代という会社も少なくないので、簡単な話では無いですが、センタートップマネジメント人材育成というのは将来のコールセンターに取って重要な問題だと思います。
一方では、世の中の研修はSV研修を筆頭にコールセンターの知識・スキル付与の研修がメインなのでなかなかコールセンタートップマネジメント人材を育てる環境が無いのも現状です。私のようなコールセンター歴30年とかはもはや化石のような存在かもしれませんが、コールセンター畑でキャリアを積む層がもっと表れてくることが、これからのコールセンターの将来を左右していくように感じます。

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2020年12月01日 09:16

Vol.88 【特別寄稿】伝説のセンター長が語るアフターコロナのマネジメント <その1>

伝説の その1
今月11月12日・13日に開催されたCRMデモ&コンファレンスIn東京にはご来場されたでしょうか?また、11月12日に開催の「伝説のセンター長が語るアフターコロナのマネジメント」はお陰様でコロナ禍の中でも満席で150人以上の方に参加いただきました。
ここ最近は「コールセンター白書2020の考察」をお届けしてましたが、今回と次回は参加できなかった方も多くいらっしゃると思いますので特別寄稿として「伝説のセンター長が語るアフターコロナ・・」の当日の内容をダイジェストでお届けします。
 
冒頭のスライドは私のパートで説明した内容です。コールセンターの現場では多くの事がコロナ禍で変化してきましたが、一言で言うと「物事の優先順位が変わった!」と思います。
「お客様」・「会社」・「社会」・「社員」の4つを現場において優先順位付けすると、コロナ前は総じて「お客様第一主義」を掲げているコールセンターが多かったと思いますが、4月の緊急事態宣言の状況下では、“社員の命を守ることが第一”として、ある意味コールセンター運営の歴史上初めてと言って良いぐらい「社員」の優先順位が一番にフォーカスされたコールセンターが多くあったと思います。逆に今まで一番重要視されていた「お客様への繋がりやすさ」は自宅待機や間引き運用の中で応答率:30%以下の運用でも仕方が無いと割り切った運用も見受けられました。また、アウトソーサーにとっては、更に「クライアント」という5つめの要素が加わることになりますので、更に現場の優先順位付け・運用の舵取りは難しいものになっていたと思います。今後「アフターコロナ時代」においてどのような優先順位付けになっていくのかは、企業の考え方次第、クライアントの意向次第の部分が大きいですが、重要な点は、経営層またはコールセンタートップから、「今自社の運営の優先順位と方向性はこうである!なぜならば・・・」をきちんと現場の管理者・オペレーター全員に共有して認識を一つにしておく事だと思います。昨日まで「応答率・応答率・・」と目くじらを立てていたのに急に「応答率は諦めた・・自宅待機!」とか、「明日からまた全員出勤で電話取れ!」とか目まぐるしく対応が変化する場合もありますが、会社方針・センター方針はしっかりと現場と共有理解を持っておくことが重要だと思います。
 伝説の その2
次に品質の考え方も先ほど述べたように「応答率・繋がりやすさの追求」から、コロナ禍においては“メール・チャットのノンボイスサポート”への切り替え対応、FAQ対応などアクセスチャネルの多様化で凌いだコールセンターが多いと思います。確実にアフター(WITH)コロナ時代においては、「在宅対応・デジタル化」の波は避けては通れない時代に来ています。この1年間を通してご相談頂いたコールセンターや周辺状況をヒアリングした結果では、春先にリモート体制を前提にシステム構築まで行ったコールセンターは大手アウトソーサーや大手企業、外資系企業など一部に限られていましたが、夏の第二波頃から将来に向けたリモート体制構築の必要性や社内での理解も進み本格的にリモート体制に向けたシステム構築を開始したコールセンターが目立ち始めたようです。そして11月の現在においては、かなりの割合でリモート体制を構築して年内の運用開始を目指して対応を行っているコールセンターが目立っています。この「在宅化・デジタル化・ロイヤリティー化」のテーマは奥が深いので別に個別テーマで深掘りをしたいと思います。
 
最後に優秀なSV・マネジメントの定義が変わったか?についてですが、今までは一般的には現場での手上げ対応・エスカレーションの際のサポート力(知識・スキル・経験が豊富)が優秀でかつ現場から頼られるマネジメントであったと思います。しかし、コロナ禍において在宅での一人ぼっちの対応や、間引き対応でそもそもSVが現場にいない状況も生まれました。当然ですが、知識・スキル・経験の豊富さは頼もしい要素ですが、現場のオペレーターから聞こえる今後のSV・マネジメントに期待する声として①:知らない事を一問一答で答えてくれるだけでは無く、どのナレッジをどのように検索して解決していくのかのナレッジ活用法や解決手法の習得などナビゲーション手法に期待する声と、②:今まで以上に精神面・メンタル面のフォローを期待する声が多く聞かれます。ナレッジマネージメントの第一歩はFAQの整備から始まりますが、特に今年ほどFAQの重要性に気付かされた年は無いと思います。このコロナ禍におけるナレッジマネージメントについても、テーマは奥が深いので別に個別テーマで深掘りをしたいと思います。
 
次回も、「伝説のセンター長が語るアフターコロナのマネジメント」のパネルディスカッションから他のパネラーの声なども共有させていただきます。
 
2020年11月25日 13:17

Vol.87 「コールセンター白書2020」コロナ禍で現場が要望した事は? <その3>

コールセンター白書その3 コロナSV感想
引き続き「コールセンター白書2020からのデータ考察」をしていきます。
特に今年の「コールセンター白書2020」はコロナ禍における様々なアンケート項目が多数ありますが、その中で今回はコロナ禍で「自社で実施した施策」と「現場のSVが本当は実施して欲しかった施策」について取り上げたいと思います。
 
冒頭のグラフが全国のSVに聞いた意識調査の結果です。会社(現場)で実際に実施された施策としては当然ですが、「席の間隔を空けてソーシャルディスタンスを保つ:70.9%」、「ヘッドセットなどの共有ツールを専用にする:43.6%」が高い実施率になっています。ちょっと微妙な結果が「正社員の一部を在宅勤務に移行した:41.3がありますが、非正社員である派遣社員・委託先の非正社員などは在宅勤務の対象としないコールセンターが非常に多かった事です。現場から聞かれた声として「正社員のSV・管理職だけ在宅勤務とか、ありなんですか?自分たちの事をどう考えているのか?」、「在宅勤務はしたいけど、ただでさえ助けてくれない正社員さんが在宅になってサポートしてくれるとは思わない!」という現場管理者に対する不信感の声が結構あったそうです。
本当は実施して欲しかった要望の一番が「出勤しなければならない社員に対するメンタルケア:25%」に代表されるように管理者と現場で働く非正社員・委託先の社員との意識のギャップを感じます。在宅勤務できないばかりか、無理して出社して勤務している不安な気持ちにも寄り添ってくれないとなると、モチベーションは低下するばかりです。エンゲージメントという言葉が良く聞かれるようになりましたが「従業員が会社に寄せる愛着心や思い入れ」という意味ですが、働く従業員がエンゲージメントを感じられないコールセンターでCX(カスタマーエクスペリエンス)を実現するのは難しいのではと思います。
 コールセンター白書その3SVコロナ - 在宅できない理由
次に、在宅勤務に移行できなかった理由として、「個人情報の取り扱いの問題」、「ITソリューションが導入できなかった」、「エスカレーション対応ができない・難しい」の3つが(予想通りの結果ですが)大きく回答されていますが、マネジメントが現場を信用していない(メンタルケアもまともにできない)、現場のオペレーターもマネジメントを信用していない環境では、多分この物理的な問題がクリアーされても、在宅対応が上手く機能するのは難しいと思います。今年を通して聞かれる声としては「今後のコールセンターにおいて在宅勤務環境を選択肢として加えるのは待ったなしなのでは無いか・・・」という声です。在宅体制と言っても松竹梅がありますので、完璧なリモート体制から、メールのみ対応など様々ですが、多分来年になるとコールセンターのオペレーターの職場選択肢として「在宅勤務体制の選択肢があるかどうか?」が採用募集に応募する上で重要視されてくると思います。冒頭でも書きましたように“正社員だけが在宅勤務できる職場”は当然のごとく敬遠されていくと思います。在宅勤務については「やるか?やらないか?」の議論から、「どの程度の体制と運用で在宅勤務を可能とするのか?」の議論に移ってくると思います。その際には物理的なシステムとか情報管理の運用ルールの整備のみならず、「現場のメンタルケア・エスカレーションサポート」などマインド面のサポート・不安感の払拭も重要ですので、この観点の意識を持ってもらいたいと思います。
 
いよいよ今週11月12日・13日はCRMデモ&コンファレンスIn東京が池袋で開催されます。
1112日の13時から開催の「伝説のセンター長が語るアフターコロナのマネジメント」はお陰様で既に満席により事前登録は終了しています。当日は空き席があれば入場できる状況ですのでご了承下さい。
 

 コールセンター白書2020に興味がある・購買希望の方は下記を参照して下さい。

ここをクリック
 
2020年11月09日 13:35

Vol.86 「コールセンター白書2020の考察」コロナ禍で変わったこと <その2>

離職率
引き続き「コールセンター白書2020からのデータ考察」をしていきます。
前回は例年運営課題のトップに挙げられる「採用難」と「離職の悪化」が課題認識から後退して、「生産性の向上」と「チャットなどのテキストチャネルの対応体制の整備」がトップ2に押し上げられた説明をしましたが、その課題認識を裏付けるデータがアンケート結果からも見て取れます。
オペレーター採用に関して「十分な応募数を確保できている割合が」2019年が19.5%だったものが、2020年には35.6%と前年対比で180%もの大幅に改善しています。一方で新人オペレーターの離職率ですが「30%以下の離職率の割合が」2019年が38.6%だったものが、2020年には48.5%とこちらも前年対比で125%の改善の結果になっています。
 
これは前回も説明していますが新型コロナウイルスの影響で飲食・観光・サービス業が軒並みに大打撃を受け、今まで不人気職種であったコールセンターがこれらの業種の雇い止め・失業の受け皿になった要因が大きいと思います。ただ、これはあくまでも対比の問題ですので、「採用難」と「離職の悪化」が改善されたというよりも、それ以上に大きな課題が今年は発生したと見る方が正しいと思います。
 コロナで変化したこと
今回の新型コロナウイルスのパンデミックのインパクトは多方面に出ていたと思います。特に緊急事態宣言下がちょうど春先にあたり、引っ越し業界・運輸・通信サービス・公共機関・PCメーカーなどは平時でも春の異動時期の繁忙期にあたるのに人を間引いたり・自宅待機・在宅対応で応答率を20%未満まで下げざる終えなかったという話も聞きました。一方でテレマーケティング・アウトソーサーの会社は、国・地方公共団体からの「コロナ対応窓口」の依頼で大特需が発生し、手洗い・消毒・換気の強化だけで通常通りの座席配置・シフト勤務で運用していた会社もあったようです。更に、通常の会議室にパソコンと電話機を入れて急遽オペレーションルームに変更し3密覚悟でこの特需に対する対応を取っている例もありました。インハウスの自社運営のコールセンターであればある意味割り切って、3密回避の行動を取った会社が多いようですが、アウトソーサーの場合、クライアント要望がありますので、クライアント先の理解が得られなければどうしても無理してでも3密の職場を回避するのが難しい場面もあったと思います。前回号で書きました、[顧客]、[会社]、[社会]、[社員]の優先順位の他に[クライアント]という5つのカテゴリーの優先順位付けに苦悩した経営層は多いと思います。
 
ただ、2011年の東日本大震災、近年の大型台風による交通機関のストップ、ウイルスも10年ぐらいの周期で新種のウイルスの脅威にさらされている現状を見ると、本格的に、有人電話対応のみの対応チャネルからの脱却を検討すべきと思います。今回のデータにもある「採用難」と「離職の悪化」の改善が将来に渡り改善の見通しが立ったわけでも無く、一過性の特需と見た方が間違い無いと思います。今こそ将来に向けたコールセンターのあり方・運営形態・対応チャネル戦略をどうするかを再考する時期に来ていると思います。

いよいよ来週11月12日・13日はCRMデモ&コンファレンスIn東京が池袋で開催されますので、在宅受付に向けたシステム、最新のAI、FAQ、音声認識ソリューションなどもありますので足を運ぶと良いと思います。まずは最新システムでどんな事が可能になるのかイメージを持つだけも価値はあると思います。

最後に1112日の13時から私も登壇する「伝説のセンター長が語るアフターコロナのマネジメント」も残り20人ぐらいで事前申込みを打ち切るようです。事前登録していただければ、無料で参加できますので来場予定の方は早めにお申し込み下さい。
申込みはこちらから!

 コールセンター白書2020に興味がある・購買希望の方は下記を参照して下さい。

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コールセンター白書2020
2020年11月04日 09:51
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