Vol.86 「コールセンター白書2020の考察」コロナ禍で変わったこと <その2>
前回は例年運営課題のトップに挙げられる「採用難」と「離職の悪化」が課題認識から後退して、「生産性の向上」と「チャットなどのテキストチャネルの対応体制の整備」がトップ2に押し上げられた説明をしましたが、その課題認識を裏付けるデータがアンケート結果からも見て取れます。
オペレーター採用に関して「十分な応募数を確保できている割合が」2019年が19.5%だったものが、2020年には35.6%と前年対比で180%もの大幅に改善しています。一方で新人オペレーターの離職率ですが「30%以下の離職率の割合が」2019年が38.6%だったものが、2020年には48.5%とこちらも前年対比で125%の改善の結果になっています。
これは前回も説明していますが新型コロナウイルスの影響で飲食・観光・サービス業が軒並みに大打撃を受け、今まで不人気職種であったコールセンターがこれらの業種の雇い止め・失業の受け皿になった要因が大きいと思います。ただ、これはあくまでも対比の問題ですので、「採用難」と「離職の悪化」が改善されたというよりも、それ以上に大きな課題が今年は発生したと見る方が正しいと思います。
今回の新型コロナウイルスのパンデミックのインパクトは多方面に出ていたと思います。特に緊急事態宣言下がちょうど春先にあたり、引っ越し業界・運輸・通信サービス・公共機関・PCメーカーなどは平時でも春の異動時期の繁忙期にあたるのに人を間引いたり・自宅待機・在宅対応で応答率を20%未満まで下げざる終えなかったという話も聞きました。一方でテレマーケティング・アウトソーサーの会社は、国・地方公共団体からの「コロナ対応窓口」の依頼で大特需が発生し、手洗い・消毒・換気の強化だけで通常通りの座席配置・シフト勤務で運用していた会社もあったようです。更に、通常の会議室にパソコンと電話機を入れて急遽オペレーションルームに変更し3密覚悟でこの特需に対する対応を取っている例もありました。インハウスの自社運営のコールセンターであればある意味割り切って、3密回避の行動を取った会社が多いようですが、アウトソーサーの場合、クライアント要望がありますので、クライアント先の理解が得られなければどうしても無理してでも3密の職場を回避するのが難しい場面もあったと思います。前回号で書きました、[顧客]、[会社]、[社会]、[社員]の優先順位の他に[クライアント]という5つのカテゴリーの優先順位付けに苦悩した経営層は多いと思います。
ただ、2011年の東日本大震災、近年の大型台風による交通機関のストップ、ウイルスも10年ぐらいの周期で新種のウイルスの脅威にさらされている現状を見ると、本格的に、有人電話対応のみの対応チャネルからの脱却を検討すべきと思います。今回のデータにもある「採用難」と「離職の悪化」の改善が将来に渡り改善の見通しが立ったわけでも無く、一過性の特需と見た方が間違い無いと思います。今こそ将来に向けたコールセンターのあり方・運営形態・対応チャネル戦略をどうするかを再考する時期に来ていると思います。
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2020年11月04日 09:51