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コールセンターのちょっといい話

Vol.64 経営に認められるコールセンターの創り方 ~その1~

センター管理者、共通の悩み
先日、今後実施されるコールセンターの実践講座についてお伝えしましたが、特に「コールセンター運営の基本知識とマネジメント入門講座」の研修には副題があります。それは如何にして「経営に認められるコールセンター」になるかという命題に対するメッセージです
どうしても、日本においてはまだまだコールセンターの社内におけるポジションが決して高いとは言えない状況にあります。その状況をどのように打開して「経営に認められるコールセンターを創っていくか!」というヒントを得てもらう事も目的の一つにしています。
また、複数の企業様からお声かけいただき「経営に認められるコールセンターの創り方」というテーマで講演活動もしています。今回はその中の抜粋版をお届けします。
下記2つの研修は新型コロナウイルスの影響で、延期になりました(時期が決まりましたら追って連絡します)
◆ 4月22日(水)・・・東京の家電会館で実施予定
◆ 5月27日(水)・・・大阪のマイドーム大阪で実施予定

「コールセンター運営の基本知識とマネジメント入門講座」を実施します。

詳細はここを参照
 
では、どのようにして「経営に認められるコールセンター」にしていくかですが、当然ながら一つの施策・アクションで見方ががらりと変わるはずはありません。冒頭の図にもありますように、多くの管理者・センター長の皆さんは「経営層に何を報告すればいいのか?」、「人件費を減らせ・減らせとばかり言われる」、「コストセンターと揶揄される」、「品質と生産性が一向に向上しない」という嘆きを、どこのコールセンターに伺っても聞こえてくる声です。
今回からシリーズで、この経営層からのコールセンターの見方に関して、少しでも意識変革をもたらすにはどうしたら良いのかにフォーカスを当ててブログを書いていきます。
 
初回は「経営層とのギャップを最小化しよう!」です。
そもそも、例えば営業部に関しては売上金額・売上数・営業利益など非常にわかりやすいKPI指標がありますので、どの経営層でもその部署の善し悪しは一目でわかりますが、ことコールセンターに関しては「応答率」、「放棄率」、「サービスレベル」、「稼働率」、「AHT(1件あたりの処理時間)」、「CPC(Cost Per Call)」など、一般の経営層には難解で意味の分からないKPIばかりですので、そもそも、何をもって現在のコールセンター運営(アウトソーサーからしたらコールセンター経営)が上手くいっているかどうかがわかりません。ですので、ここの誤解や理解不十分な点などの相互のギャップを最小化しない事には話が始まりません。
一例を挙げれば、自社運営(インハウス)の場合、コールセンター部門単体で営業利益を稼ぐ事を目的としているセンターは少ないので、基本は期初に定めた年間予算の範囲内での運営が重要になります。では、果たして期初に定めたコール量予測(年間・月間・日間・時間帯別)・将来の変動要素(イベント・人員構成・時給単価・派遣法/労働契約法の法令改正など)をきちんと盛り込み、精緻なコール量予測からシフト配置、要員計算を行っているかというと、残念ながらどんぶり勘定で計算しているコールセンターが多いのが実態です。すると、期中に急にコール量が増えて人員を増やしたい(予算を超える)事態が発生して稟議を挙げても、「そんな事は予算時には聞いてないし、君の見積が甘かったのでは?」と返されて終わりです。結局、コールが逼迫してきてもオペレーターを増員できなければ、電話は繋がりにくくなりお客様には迷惑がかかりますし・現場稼働率が高くなりますオペレーターも疲弊します。オペレーターのメンタルケアも怠れば、欠勤率・離職率にも悪影響が出てくる事態になりますが、そこで、「応答率が80%を切ってきたので・・」とか、「稼働率が90%を超えてきたので・・」とか経営層に説明しても、まず聞き入れてもらえない事が多いです。
 
では、このような状況に陥らないようにどうしたら良いのかについては、次回に整理して説明したいと思います。
 
2020年03月31日 10:14

Vol.62 コールセンター最新システム事情 ~音声認識システムの活用法

音声認識ー活用法1
ここ2回にわたり「音声認識・声紋認証系の最新システム」を初回してきました。最近では音声認識のシステムは非常に多く存在しますので、どのシステムが良いのか迷ってしまうと思いますが、まずは、自社の課題をきちんと整理して、導入目的を明確にする事が重要です。
 
冒頭の図に音声認識で実現できる領域・課題・対策(例)を整理していますが、案外多いのが、通話音声をテキストできたら便利だなぁとか、音声認識からNGワード検出できたらいいなぁ・・とか漠然とした思いがあって導入検討が開始され、その過程で認識精度がちょっと低い・悪いという事で断念してしまうケース。
システムベンダーさんからすると、最近の音声認識精度は非常に高いという自信がありますが、誤認識・精度が悪い通話ログを聞いてみると、そもそも会話内容が不明瞭で聞き取りにくいというケースが多いようです。会話で聞き取り難い通話内容を音声認識で聞き取れるはずもなく、こんなケースをきちんとチェックせずに、表面の認識率とか誤字変換率だけに目がいくようだと導入したとしても、きちんと効果を出せるのかは疑問です。
 
やはり、まずは音声認識の導入には、現状の課題をきちんと整理して、明確な目的を定義する事から始めるのが第一です。用途によって採用すべき音声認識の処理方法も異なります。
リックテレコム社の月間コールセンタージャパン誌11月号(以下CJ誌)にも、音声認識の処理方法は「リアルタイム型」と「バッチ型」、全文テキスト化を行う「ディクテーション」、キーワードを抽出する「ワードスポッテキング」に分類できると書かれています。リアルタイム型かつ全文テキスト化ができれば全ての用途をカバーできると考えがちですが、費用対効果を鑑みるとコスト過剰になってしまうケースもあるようなので注意が必要です。(この辺りの詳しい説明はCJ誌2019年11月号をご覧下さい)
 
この導入目的フェーズが固まれば、次に費用対効果の算出が可能になりますので、PoC(概念実証)に移行する事になります。PoCという言葉は昨年あたりのコールセンター流行語大賞にノミネートされるぐらいに急に頻出キーワードとして使われてきた感があります。どこの会社も、PoC、PoC・・と実証を続けてきたコールセンターさんも多いと思います。
 
また、実務運用でも、音声認識システムを導入したら一気に業務改善が達成できた!というセンターはほとんど無いと思います。ある意味、どのシステムも同じですが、システムは導入して終わりでは無く、導入が本当の意味でスタートラインです。例えば、音声認識率を高めるためには、トークスクリプトが整備されてないセンターより整備されているセンターの認識率が高いですし、専門用語の辞書登録のメンテの格差も大きいです、なにより音声認識システムを導入する事で、お客様との会話の終話直前に、オペレーターが「この通話の要約・お客様の言葉の復唱」を明瞭な声で行う事で、その通話の会話内容の音声認識精度も格段に高まり、テキスト化しても誤字変換率が低い運用ができるはずです。導入各社で運用に成功しているコールセンターはこのような当たり前の事から、独自運用手法で音声認識システムの高度な運用法を日々改善しているようです。
 
コールセンターでの標準装備の世の中に
ここもCJ誌の引用ですが、一般的には音声認識の導入には現場の手間と労力がかかりますが、技術革新によって大きな変化が訪れるそうです。具体的にはエンドツーエンドモデルを採用した音声認識システムがカギを握るようです。従来の音声認識は、辞書・音響モデル・言語モデルが別々に処理するため学習も個別に必要でした。エンドツーエンドモデルではこれらを一つの処理として実行するため、学習に要するコストを大きく抑えられるそうです。これにより、今後は小規模センターでも活用が広がり、近い将来はコールセンターにおいての標準装備となる日も近いと思います。
 
私も、音声認識-活用の可能性は非常に多岐に渡りかつ、今のコールセンターの課題解消には効果的なシステムなので、今から将来に向けた検討を開始しても遅くないと思います。
 
2020年03月07日 16:35

Vol.61 コールセンター最新システム紹介 ~音声認識⇒声紋認証の活用編~ 

CCブログ 音声認識IVR
先週に引き続き「音声認識」にフォーカスを当てたシステムの紹介です。
前回はオペレーターとお客様の通話内容をリアルタイムでテキスト化する音声認識をベースに、発話内容からFAQの回答候補を表示する機能や、終話後テキスト内容を要約する機能などコールセンターの生産性効率化からオペレーター支援機能までフル装備のシステムを紹介しました。
今回は、「自然発話×意図理解」の対話型の音声認識IVR・音声認識システムの紹介です。
 
まず下記のYoutubeの音声認識デモ音声をお聞き下さい。特別にニュアンス・コミュニケーションズ様からお借りしたデモ音声です。
(音声が出ますので、周囲の状況を確認した上でクリックして下さい)
https://youtu.be/vtoN8lSg_Vg
 
アメリカン航空で実際に使っている音声認識IVRのデモですが、システムの音声とお客様との会話の間のタイムラグがほとんど無く自然なやり取りと感じるはずです。これは、かなりチューニングした結果だそうですが、このクオリティーレベルであれば実際の現場で違和感無く使用できる領域まで来ていると思います。
従来のプッシュトーン型のIVRでは「XXの方は1番、△△の方は2番を押して下さい」といったガイダンスを延々と聞くことになります。階層が深い場合など、操作ボタンを1度間違えると、また初めに戻ってやり直しや・希望の窓口に繋がらなかった場合にまた転送されるなどたらい回しが発生する事もあります。特に高齢者の方にはこのプッシュトーン型のIVRは不評です。しかし、ニュアンス・コミュニケーションズの「対話型音声認識IVR」では、こうした煩わしさが解消されるようです。
 
また声紋認証機能を併用することで、さらに活用範囲が広がります。声紋は個人特有の生体情報を利用するため、従来のパスワードやPINのような盗難や推測される事もありません。なりすましに強く・パスワードを忘れてしまった!という事もなくなります。(現在は非常に多くのパスワード・PINを覚えてないと、電話操作の際にうっかり忘れたという事は私も時々遭遇しますので、自分の声紋認証で事前登録・本人確認してくれると非常に助かります。)
 画像1
声紋認証という安全かつ簡単に本人確認が可能になるため、特に金融サービスをはじめとした厳重なセキュリティ管理において「なりすまし、不正アクセスの検知、防止」という観点からの導入も進んでおり、経済的被害と犯罪防止コストの削減や企業イメージ向上を実現しているようです。日本国内でも特にセキュリティについて厳格な金融機関でのニーズが高い傾向にあるようです。
鹿児島銀行さんでは、インターネット取引の本人確認にニュアンス「Nuance Security Suite」の声紋認証「VocalPassword」を採用。従来は、セキュリティのため10桁のIDとパスワード入力、乱数表による認証が必要でしたが、利用者に不便を強いることになっていた。「VocalPassword」により、セキュリティを確保しながら顧客利便性との両立を実現しています。また、楽天生命さんでは代理店専用コールセンターに声紋認証システムを導入しています。代理店の担当者からの問い合わせに対して、パスフレーズの発話による本人確認を実現。セキュリティレベルを上げることにもつながり、代理店の業務効率改善やその先の顧客へのサービス品質向上も考慮した施策となっているようです。
 
今回の対話型音声認識IVRと声紋認証機能は、現在社会問題になっている「オレオレ詐欺」、「振り込め詐欺」にも絶大な効果を発揮するのではと思います。国策として、地方時自体などで高齢者対象に、事前に家族・子供の声紋を登録しておけば「俺だよ!」と言っても、その時点で「声紋で認証されず!」とその後の振り込め詐欺を撲滅できるのではと思います。そのような対策が実現化するのも、そう遠くは無いと思ってしまいます。
 
“音声認識機能”や“Voice To Text”は今ではスマートフォンで日常的に使われている機能ですので広く利用者にも馴染まれた機能です。コールセンターの運用でも単にプッシュ選択型のIVRの時代もそろそろ終わりを告げていくのかもしれません。
次の時代では「音声認識による声紋認証」+「感情解析」で、ストレスフリーでかつ、自然発話の用件と声の感情分析によって、高齢者の優良顧客は○○さんへ、怒っている癖のある方は初めからベテランの△△さんへと最適なオペレーターへのルーティングが実現される時代もすぐそこかもしれません。
 
2020年02月24日 18:13

Vol.60 音声認識⇒テキスト化⇒要約化 FAQ自動検索 音声認識IVR All In Oneシステム紹介

OMNISシステム
「コールセンター白書2019」によると、音声録音システムの導入率は実に94%に及ぶそうです。今では全通話録音するのが当たり前になり、「蓄積した音声ログをもっとビジネスに有効利用したい」というニーズが拡大してきています。最近では音声認識機能をベースとして様々な機能が既に実用化され、「対話内容を自動でテキスト化する」、「テキスト化された文章を自動で要約する」、「対話内容を音声認識してAI機能などを介して必要なFAQを自動で候補選択してくれる」など・・使い方次第では大幅に通話時間・後処理時間を短縮するだけでは無く、FAQの自動検索機能などは新人オペレーターの知識支援として大きなサポートとなり、早期離職を防ぐ武器になってきています。
 
本日は上記で書いた機能全てがAll In Oneで実装されているコールセンター向けクラウド音声認識・AIソリューション「MSYS Omnis」(丸紅情報システムズ)のシステムを紹介します。
OmnisはGoogleの技術を活用してオペレーターとお客様の通話内容をリアルタイムでテキスト化をする音声認識をベースに、発話内容からFAQの回答候補を表示する機能や、終話後テキスト内容を要約する機能などコールセンターの生産性効率化からオペレーター支援機能までフル装備で実装されています。
 
このシステムには大きく次の4つの機能が標準機能として実装されています。
 
  • :音声認識:Cloud Speech-to-Textの活用により、音声認識精度が非常に高く、一般的な音声認識システムの導入にあたり最も手間のかかるチューニング作業が不要という特徴があります。
     
  • :FAQ候補検索:発話内容からFAQの回答候補をすばやく表示。気軽にワンクリックのため、新人オペレーターでも応対中に簡単にFAQ検索が可能になります。また、あらかじめ登録したワードが発話されると自動的に回答候補を表示する機能もあります。
    この機能は新人オペレーター支援に大変貢献する機能であり、某都市銀行での実例報告でもありましたが、人工知能ワトソンを使ったAI技術による音声認識からのFAQ自動検索機能は、デビュー後間もなく、知識習得が曖昧な新人にとって大きなサポートになります。その結果、新人入社3か月以内の早期離職率が大幅に改善できたという報告もあります。
     
  • :要約機能:終話後テキスト化した通話内容から不要語を削除し文章量を減らす事が可能
    手間取る履歴入力も短時間で登録まで可能になります。“コールセンターは秒の経営学”と言われるように、年間数十万本の対応をしているセンターにとって1通話対応平均時間が1分短縮するだけでも、年間数千万のコスト効率化につながります。
     
  • :SV向けモニタリング機能:各オペレーターの通話状況をリアルタイムでモニタリング。応対中のテキストの閲覧が可能。

    またオペレーターと顧客それぞれの音声から感情をリアルタイムで分析し、直近で最も高い感情値を表示。感情分析には、Empathのエンジンを活用し、喜び・怒り・悲しみ・平静の4つの感情に分類し表示してくれます。その他、NGワードの検知や通話時間でのアラート表示等を行う機能もあります。
 OMNIS画像
さらに、音声認識システム導入の際に苦労する一つに膨大なチューニング作業があります。しかしOmnisではこの多大な労力が不要で、またお客様側でハード機器を手配頂く必要がないため、導入まで最短一か月のスピードでの提供ができるのも大きな特徴の一つです。既に、サービス開始から2年半で35社以上の導入実績があります。地銀最大手の横浜銀行では、PoCで音声認識精度の高さと、導入後のチューニング作業が不要な点を評価して導入しています。またセブン&アイホールディングスでも、Omnisでテキスト化した通話内容をCRMに貼り付けることで後処理時間の短縮、オペレーター業務の効率化を図っています。
 
最近では、Omnisの高精度な音声認識をコールセンターの自動化に活用した、「Omnis IVR」のニーズが高まっています。お客様の発話を音声認識し、適切なフローへ自動的に振り分けを行うことで、オペレーターの負荷軽減はもちろんのこと、特に高齢者層にとって不人気な選択式IVRのわずらわしさを解消しお客様満足度向上にも貢献してくれます。
 
こちらのシステムにご興味ありましたら、下記を参照の上、是非一度システムデモを見てみたい、実際のシステム機能に触れてみたい方はご連絡いただければ、対応させていただきます。
https://www.marubeni-sys.com/msys_omnis/
 
2020年02月12日 09:30

Vol.59  コールセンター白書2019の考察~最終回~

エリア毎時給

昨年11月から不定期に書いてきました、「コールセンター白書2019」の考察ですが、今回で最終回です。今回は改めて「コールセンター白書」の中身についてご紹介させていただきます。「コールセンター白書」は2003年に刊行を開始して今回で17年目になります。基本は全国の実際に運営しているコールセンターからの生の声・アンケートの集計結果のレポートになります。昨年発刊の「コールセンター白書2019」では220社の運営企業からの回答をベースに集計・レポートがまとめられています。ただ、全国のコールセンターからのアンケート結果の集計のみならず、「月刊コールセンタージャパン」の編集部の皆さんが日々のコールセンター訪問や業界研究を通して得られた知見・将来予見・運用Know-howも沢山盛り込まれていますので、自社センターの課題で悩んでいる管理者にとっても解決のヒントや有益な情報が沢山盛り込まれています。

私は仕事柄、毎年「コールセンター白書」は熟読して最近の時代のトレンド(AICX・チャットボットなど)や自治体のコールセンター誘致状況や地方自治体のコールセンター支援制度・助成金制度など業界動向を勉強してますが、大変参考になる1冊です。

 

第一章では「コールセンターを取り巻く環境とマネジメント課題」がまとめられています。

平成から令和への変化と課題、IT市場の動向など。AIも過度な期待先行型から目的ある導入フェーズに来ている状況など、今後AIソリューションの導入を検討している企業には参考になる情報満載です。他にはコールセンターの採用時の時給/月給調査、SV,リーダー層の意識調査などがまとめられています。

 コールセンター白書2019 SV

第二章では、「国内コールセンターの実態」がまとめられています。

労働法改正への対応や離職率/離職予防施策のパートは特に自社の状況と他社の状況を比較・検証する上では参考になるデータと考察が書かれています。

改正労働法1

第三章では、「コールセンター利用者調査」がまとめられています。

一般消費者のコールセンター(電話)体験を探り、センターの運営課題を抽出する目的でまとめられています。通信販売、携帯キャリア、生命保険、損害保険、銀行、メーカーのお客様相談室のコールセンターに対し、問い合せをした消費者の属性や印象、満足度とNPSの関係性などがまとめられています。

 

第四章では、「コールセンター/CRMアウトソーシング市場検証」、第五章では、「全国自治体のコールセンター誘致・進出状況調査」がまとめられています。

現在アウトソーサーを利用している、今後利用したいと検討している企業にとっても参考になる情報です。また、今後、コールセンターの地方移転や新たに地方進出を検討する上では、この1冊で全ての地方自治体のコールセンター支援制度・助成金制度の詳細がまとめられていますので、大変参考になります。

 

このように、コールセンター運営に関する情報が満載ですので、ある程度の規模のコールセンターでは“一家に一台”感覚で、備えていた方が良いと思います。

⇒ 「コールセンター白書2019」ではより詳細に今のコールセンターの実態が説明されています。内容に興味がある・購買希望の方は下記を参照して下さい。

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コールセンター白書2019

2020年01月28日 11:20

Vol.58  コールセンター白書2019の考察~SV昇格時には別途専用の研修は必要か?~ <その7>

SV満足NPS
前回は「心理的安全性」という言葉から「Google流の最高のチームの作り方」について書きました。最終的に導き出された“解”は、「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタル的な要素の重要性であり、それによって醸成されるチーム内の「心理的安全性」と呼ばれる。そうした心理的安全の環境が担保されているチームほど高い生産性を発揮している、と結論づけました。

では、コールセンターの重要な要のSVを取り巻く環境にについて、昨年に引き続き「コールセンター白書2019」から考察をしていきます。
冒頭のグラフをご覧下さい。これは「SV/リーダーになるために別途研修やトレーニング・OJTなど何らかの指導を受ける機会があったか」を聞いた質問結果です。
実に驚くのは全体の約34%(3人に一人)は、現場で何の研修・OJTの無いままSVの業務を行っている事です。多分背景としては、優秀なオペレーターがSVに昇格する事になりますが、オペレーターとして優秀だからSVとしてもできるでしょう?という甘い考えが現場にあるのか?
または、どんな研修・教育をしていいかわからないので、そのまま放置されているのか?という状況が想定されます。
SVを任せる際には、本人の希望ややる気の有無も重要ですが、それを補完するうえでもSVとしての専門の教育が重要です。業務知識があり、適性を評価したうえでアサインしているからという安心感から必要性を感じていないのかもしれませんが、オペレータとSVはまったく異なる業務ですのでSV就任時の教育は重要です。
・モニタリング&フィードバック・・・ヒアリングポイントやコーチング技術も必要です。
・KPI管理・・・オペレーターとは全く異なる立場から複数のKPI管理が必要です。
・稼働管理・・・コール量予測、必要人数計算、シフト配置など専門的な知識が必要です。
・評価管理・・・オペレーターの業績・品質管理を行う上で評価管理の仕組みと運用の理解
・人材管理・・・定期面談を通じてコーチング&フィードバック術を習得する必要がある。
重要業務を簡単に列挙しただけでも上記のタスク・スキルが必要になるのがSVです。オペレーターの延長線上では考えられません。
★実際に、教育の充実度は、職場の推奨意向から職場へのロイヤルティを測る、eNPSへの相関がみられ、社内外の研修を受講したSVは-46.7と比較的高く、トレーニングを受ける機会がなかったSVは-63.4と低い結果になりました。実に20ポイント以上の差が発生しています。
研修を受講するという機会を得ることで、自分は期待されていると自負することができ、ロイヤルティを高めることにもつながるはずです。


理想のSV次に、理想のSVについてフリーコメントで聞いた結果を見ても、自ら志願したSVと周りに説得されたSVでは、同じようなことを書いているのですが、表現やスタンスに違いがあります

自ら志願したSVはチームを引っ張ろうとする意志の強さが感じられますが、周りに説得されたSVは周囲が受け入れてくれる存在を目指し、役に立とうとします。

後者の方が、上司にとっても扱いやすく、オペレータにとっても接しやすいかもしれません。しかし、業務改革を推進したり、困難を乗り越えるフェーズにある現場では本人が重荷に感じることが容易に想像できます。

 

SVの一挙手一投足・人柄・パフォーマンスがオペレーターにも直接の影響力を持ちますので、SVの質がそのままそのコールセンターの品質と価値を決めると言っても過言ではありません。優秀なオペレーターがSVに昇格するケースが多いと思いますが、本人の意欲が高くても、やはりSVに対する専門の教育・人材育成を実施していかないと、いつまでたっても一人前のセンターにはならない事を認識して、教育・研修がなおざりになっているセンターは今一度自社の教育体制を見直すきっかけになればと思います。

⇒ 「コールセンター白書2019」ではより詳細にSVの意識調査やアンケート結果が説明されています。内容に興味がある・購買希望の方は下記を参照して下さい。

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コールセンター白書2019

2020年01月15日 10:22

Vol.57 Google流の最高のチームの作り方 ~心理的安全とは?~

Google 心理的安全
新年明けましておめでとうございます。今年もコールセンターに特化した最新事例・最新システム・運用事例を紹介していきます。
2020年年始めにあたり、年末年始に読んだ本の中から印象に残ったテーマがありましたので、年始め一発目は「Google流の最高のチームの作り方 ~心理的安全とは?~」からブログを開始します。この本自体はコールセンターとの直接的な関係性はありませんが、昨今、コールセンター業界の難病のようになっている「離職問題」、「チーム力」に対して一石を投じる内容だと思います。
 
皆さんは「心理的安全」という言葉を見聞きした事があるでしょうか? ここ最近注目されている言葉ですが、2012年にアメリカのGoogleが「プロジェクト・アリストテレス」と呼ばれる、生産性向上計画を実施した事が由来です。そもそもは、社内でさまざまな業務を担う、数百にも及ぶチーム・同社の人員分析部が、社員同士のコミュニケーションを中心に、各チームの仕事ぶりを徹底的に観察して分析し、「より生産性の高い働き方」を提案するのがプロジェクトの目的でした。しかし、グーグルが得意なはずの分析作業は、思いがけず難航しました。というのも、チームの働き方そのものやメンバー構成などに関しては、生産性の高いチームに共通する目立った要因が抽出されなかったからです。最終的に導き出された“解”は、「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタルな要素の重要性であり、それによって醸成されるチーム内の「心理的安全性」と呼ばれる概念でした。「心理的安全性」とは、こんな発言をしたらリーダーからにらまれる、他のメンバーにバカにされるといった不安を持たず、本来の自分を安心してさらけ出し、それが受け入れられる場の雰囲気をいいます。同プロジェクトでは、そうした環境が担保されているチームほど高い生産性を発揮している、と結論づけました。
近年、職場内での雑談が社内コミュニケーションや情報共有を円滑にし、生産性向上に有効に働くといった趣旨の研究結果をよく耳にしますが、これもコミュニケーションだけが要因ではなく、そもそも雑談が活発に行われるような職場は「心理的安全性」が高く、遠慮なくモノが言える、本来の自分をさらけ出しても受け入れてもらえるという安心感が、生産性向上に寄与しているとも考えられます。

もう一つこんな話があります。2003年に起きたスペースシャトル「コロンビア号」の悲劇を覚えている方もいると思いますが。打ち上げ後、宇宙でのミッションを終えて地球に帰還するために大気圏に突入した際に燃え上がり宇宙飛行士全員が亡くなった悲劇です。
実はこの悲劇の裏にはこんな実話が残されています。ある一人のNASAの担当者A氏は打ち上げ直後に外部燃料タンクからタイルがはがれ落ちて左翼にぶつかったような映像を発射直後の映像で見つけました。しかし、映像も粗く確信を持てなかったために、より鮮明な画像を入手すべく仲間に相談したそうです。しかし、その映像を入手するためには、他の人工衛星を操作し宇宙空間からスペースシャトルを撮影する事が必要であり、技術的にも金銭的にも膨大な労力とお金がかかることが想定されていました。また、米国国防総省に協力・許可も必要であった。A氏はそのことを仲間内では相談していましたが、上司には相談する事無く詳細な調査を諦めてしまったと。後の調査でA氏は「自分よりはるか上の地位の高い人に意見を具申するなどもっての他で上司に相談もできなかった」と。結果的に、職場で率直にものを言わない、とりわけ確信の無い懸念や根拠が乏しい考えに口を閉ざした、ありがちな組織ダイナミックスが今回の悲劇を生んだとも言われています。まさに当時の組織内では「心理的安全」が確保できない組織であったという事になります。

上記の事はどこの職場でも当てはまる事です。昨年発生した大手企業による顧客対応におけるコンプライス違反も長年にわたってその愚行は続けられたそうですが、企業内に「心理的安全」が確保されていたら、もっと早く問題に気づけたと思います。
心理的安全性
皆さんのコールセンターの現場はきちんと「心理的安全」は確保されているでしょうか?お客様からのクレームも1件であれば、「あれ、おかしいなぁ?」と思いますし、2件同じようなクレームが続いたら「もしかして何かトラブルが発生している?」と思うでしょう。3件同じクレームが続いたら、それはもう「何かトラブル・問題が発生している!と確信」するはずです。しかし、コールセンター内で心理的安全が確保されていないと、そういう声も上層部には上がってこなく、うやむやになってしまいます。

「心理的安全」というキーワード検索してもらうと、沢山の事例がでてきますので、ご興味にある方は参照してみて下さい。
 
2020年01月08日 10:24

Vol.56 コールセンター白書2019より SV/リーダー意識調査 <その6>

コールセンター白書2019 SV

さて、「コールセンター白書2019」からの考察も今回で6回目になりますが、今年最後はコールセンターの要である「SV/リーダーの意識調査」を取り上げてみます。

今年5月に全国のSV/リーダーを対象にリックテレコム社でアンケートを行い246名から得た回答結果です。属性に関しては冒頭のグラフをご覧下さい。

なんとなく「コールセンターで働く社員=女性」のイメージが強いですが、SVに限っては男性が42%も占めている事から決して女性に特化した仕事では無いというのもわかります。

年齢は30代・40代で全体の64%を占めており勤続年数10年以上が約40%を占めていますのでベテランが多い印象です。雇用属性も正社員(地域限定含む):67%、契約社員:21%ですが、派遣社員:4%、パート/アルバイト:1%とあるのは比較的小規模センターに限った事情だと思います。

今回のデータには出していませんが、年収でいうと月収は2025万円が最多層で、年収は400万円前後が最も多いという結果が出ました。ただし年収の格差も大きく、上は年収:650万以上が12%もありますが、下は年収250万以下という回答も11%ありました。勤務している会社が大手金融機関などではSVの年収も比較的高めになる場合がありますし、地方の小規模センターでは低めになる場合もあるので、一概に比較はできませんが、私の印象としてはSVの担当している職務内容・範囲・責任の重さを考えると相対的には報酬は少ないケースが多いと思います。

コールセンター白書2019 SV2
次になぜコールセンターで働くようになったのかを聞いたところ、決め手は「場所」というのが一番多かったのは例年と変わりませんが、今年は減少し半数を割りました。
代わりに給与を決め手とした回答者が多くなっています。働きやすさだけではなく、やりがいやよりよい待遇を求めてコールセンターに就業したSVの割合が高いようです。その他の内容も、居心地の良さや家庭との両立など、働きやすい環境を評価して就業したケースだけではなく、前職ではうまくいかなかったのでリベンジをはかったという声や立ち上げ業務でやりがいを感じたという前向きな回答もありました。
「給与や柔軟な働き方が可能」という理由が増えている結果であるが、昨年の改正労働契約法・改正派遣法による無期雇用化・昨今の働き方改革の流れによって、正社員化や待遇改善・職場環境改善が進んでいるようにも見受けられる。
残業についても、「残業が多くて辛い」は13%に留まり、「休暇・休息は十分に取れている」という回答がほとんどであった。この点でいうと、残業の改善が進んでいないセンターは人材流出のリスクが非常に高いという認識を持った方が良い。今後の継続意思について聞いた設問でも、「残業が多くて辛い」という回答の方の継続意思は非常に低いのに対して、「休暇・休息は十分に取れている」という方の継続意思は非常に高い結果になっています。
 
全体的に働き方改革はすすんでいる印象であるが、2020年4月からは「同一労働同一賃金」の適用が開始される予定ですので、同じ業務をしている正社員、契約社員、派遣社員、パート/アルバイトが混在している事も珍しくありませんので、早急に業務整理、人事評価体系・報酬整理を含めた抜本的な整備が必要です。今、12月の時点でまだ未整備のセンターは早急に体系を固めて現場にアナウンス出来る準備を整えることが必要です。
 
最後に、今回が今年最後の投稿になります、今年1年間に30回の新規投稿しましたので月2.5回平均になります。来年は月平均3.0回以上の投稿できるよう、現場でためになる情報や最新システム、センター訪問探訪の特集もしていきたいと思います。
また来年もコールセンターに特化したブログを展開していきますのでよろしくお願いします。

⇒ 「コールセンター白書2019」ではより詳細にSVの意識調査やその他情報など説明されています。内容に興味がある・購買希望の方は下記を参照して下さい。

ここをクリック
コールセンター白書2019
2019年12月24日 12:14

Vol.55 最新システム紹介~現在の会話を過去に遡って音声確認可能~ <その5>

アバイヤ 音声認識
前回「コールセンター白書2019」の中から各コンタクトセンターでの「今後導入予定のITソリューション」に関してのアンケートデータをご紹介しました。
チャットボットも人気のソリューションですが、音声認識系システムの導入意向も高く一昔前の試行期からここ最近は現実的な導入フェーズに来ている感があります。音声認識からのテキスト化、要約化、声紋認証、AIの連携機能としてFAQの自動検索など、その用途は幅広く、大手金融機関を始めとして多くの業種のコールセンターで様々な導入事例が報告されています。
 
今回は、先月11月末に開催されたCRMデモ&コンファレンスのITベンダーブースから少し気になったシステムを紹介します。
ディープラーニングを活用し音声から価値を提供する、Hmcomm株式会社の音声AIコンタクトセンター向けプロダクト「VContact」と、日本アバイア株式会社のコンタクトセンターサービス「AgentMAP」が連携可能になり、リアルタイム・モニタリングしながらその会話の冒頭から過去の会話の流れを確認する事が可能になりました。

まず「AgentMAP」について簡単に説明しますと「AgentMAP」は、コンタクトセンターのリアルタイムマネージメントを強力にサポートする機能で、座席配置と同じ画面を見ながら、今オペレーターがどういう状況(電話中・後処理中・受付可・離席中など)が一目でわかり、その状況に応じた計測時間や色・音を変えてアラートなどをしてくれる事でコンタクトセンターの状況を見える化し的確な状況判断を手助けしてくれるシステムです。
次に「VContact」とはHmcomm AI音声認識・自然言語処理システムを駆使して、顧客の音声をリアルタイムに認識しながら、オペレーターとカスタマーの話をそれぞれテキスト化してモニターに表示しながらFAQ自動表示、会話終了後に自動要約やFAQの自動作成を行うシステムです。
 
この2つのシステムが連携する事により、スーパーバイザーのマネージメントで複数オペレーターを同時かつリアルタイムにモニタリングを行うことができ、早期なお客様対応を提供することが可能になりました。
特筆すべき機能は、会話時間が一定時間を過ぎて長時間化しているのをアラート表示で発見し、SVがリアルタイムモニタリングを開始する事はよくある事だと思います。しかし、今までは当然ですが、聞いた箇所からしか内容を把握できないので、どのような初期対応だったのか?何のクレームなのか?どこから話がこじれたのか?など、類推しながら聞くしかありませんでした。
しかし、この2つのシステムが連携する事でリアルタイムの会話の内容を聞きながら、過去に遡って冒頭の会話から確認する事が可能です。ただし、自宅のビデオのような「追っかけ再生機能」では、今の会話を聞きながら、会話の初めからまた一から音声を聞かなくてはいけないので、同時並行して確認するのは難しいです。この機能は、会話冒頭からのお客様とのお互いのやり取りをテキスト化して確認できますので、確認したい箇所など一目でスキップして確認する事が可能です。この機能があれば、途中からモニタリングを開始しても耳で聞きながら、手元操作で会話冒頭からの会話の流れを目で確認できるので、どんなやり取りで今に至るか・過去に遡れる、まさにBack To The Futureの映画のような機能です。
 
それ以外にも「あらかじめ登録していたキーワードを発するとアラートで表示機能」 例えば証券会社のコールセンターなどで「儲かります」、「絶対に上がります」などはNGワードですので、このような言葉をオペレーターが発すればすぐにアラートを出して警告がされます。逆にお客様からの激しいクレームなどカスハラに近い問題も最近問題視されていますので、お客様からの問題発言なども事前キーワード登録しておけばすぐにアラートが上がる仕組みです。
詳しい製品説明については下記を参照下さい。
 
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000033941.html
 
20年以上も前から音声認識系のソリューションは存在していましたが、音声認識精度やクラウド運用、他機能・システムとの連携など、一気にこの2~3年で現実の運用に役立つシステムとして脚光を浴びてきていると思います。
最終的には、導入の費用対効果(ROI)をどう出せるのかを数値化、見える化して経営にしっかりとアピールできるかどうかが鍵になると思います。
 

⇒ 「コールセンター白書2019」ではより詳細に離職実施策や今後の対応予定策など説明されています。内容に興味がある・購買希望の方は下記を参照して下さい。

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コールセンター白書2019
2019年12月09日 13:49

Vol.54 コールセンター白書2019:各社の今後のシステム導入予定 <その4>

導入予定のシステム
前回に引き続き、「コールセンター白書2019」からの考察をしていきます。今回は、各コンタクトセンターでの「今後導入予定のITソリューション」に関してのアンケートデータを見ていきます。
 
冒頭のグラフをご覧下さい。やはり、一番目を引くのは、導入予定としての「チャット対応システム:21.4%」、「チャットボット:25.9%」の高さですね! もう一つ導入意欲の高いシステムは「音声認識システム:23.2%」になっています。いずれもAI関連ソリューションと位置づけられ、音声認識システムは、認識精度の向上とクラウド化による導入価格の低下が導入意欲を高めている背景があると考えられます。その用途としても、IVRとの組み合わせの音声認識IVR、音声データのテキスト化・要約化、リアルタイムの会話を音声認識し該当するFAQを自動でポップアップするなど、多様な活用方法があります。逆に一時期ブームであった「メール対応専用システム」、「データマイニング」、「テキストマイニング」などはある程度企業内での導入が完了した事もあり、今後の導入予定は低いようです。またWFMシステム(過去・未来のコールトレンド分析から最適人員配置・シフト作成をするシステム)は日本では中々根付かないシステムのようです。20年以上前になりますがアメリカ国内でコールセンター業務をしていた経験がありますが、周辺のどこのセンターでもWFMシステムは当たり前のように活用されていました。当時のアメリカと日本との差という意味では短時間勤務者が沢山いて柔軟なシフト配置が可能でした。2時間勤務とか3時間勤務とか夜間のみ勤務とか様々なシフトが組めるので、コール予測に応じた柔軟なシフトが可能でしたが日本ではフルタイム勤務がメインでそもそものシフトの柔軟性が少ないのもWFMシステムの必要性の低さの一つかもしれません。
 
また、「コールセンター白書2019」の考察でずっとコメントをしてきた、採用難・離職増加を背景として人手不足が深刻化していますので、将来に向けてコールセンターの生産性向上と有人オペレーターからの脱却というのは、どこの企業でも至上命題とされている事がうかがい知れる結果です。
それに加えて、顧客が利用するコミュニケーション手段も従来の電話・メールだけに留まらず、チャット、LINEが日常のコミュニケーション ツールとして活用されてきており、多様化もどんどん進んでいる事が伺える結果です。「チャットボット」は、昨今ITベンダーが力を入れて広告・宣伝しており、ここ数年で一気にブレイクした感じです。導入当初は「コール数削減」、「自動化によるオペレーター削減」を目的に掲げ導入してきていますが、コールセンター白書2019にも書かれていますが「チャットボットで呼量削減できた事例は皆無に近いのが現状だ!」専門家や先進事例のマネジメントは、「呼量を減らすのでは無く、顧客の利便性を高めるサービスと位置づけるべき!」と口を揃えて語られています。対応できる業務範囲の特定、FAQの整備と会話デザインの構築を含めた改善プロセスの確立など、短期的な成果ではなく、中長期的に「育てる」という視点が求められています。

最後にシステム導入の際に、「AIシステム」を導入したい、「チャットボット」を導入したいと、想いばかり先行しがちですが、最も重要な点は「業務設計力」です。しっかりと、自社の課題と将来像を見据えて、どのシステムをどのようなタイミングでどう設計していくか、「業務設計力」が問われる事を忘れないでもらいたいです。
 
先日開催されました、CRMデモ&コンファレンスIn東京でも「コンタクトセンターのAI」、「最新ITソリューションを活用した業務効率化」の講演・セミナーが花盛りでした。また、各ITベンダーが出店しているブースも昨年に引き続き、キーワードは「AI」、「チャットボット」、「音声認識」に関する最新システム紹介が目立ちました。
次回はそんな最新ITソリューションの中から、ちょっとおもしろいシステムを紹介したいと思います。

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コールセンター白書2019
2019年12月03日 13:46
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