Vol.87 「コールセンター白書2020」コロナ禍で現場が要望した事は? <その3>
特に今年の「コールセンター白書2020」はコロナ禍における様々なアンケート項目が多数ありますが、その中で今回はコロナ禍で「自社で実施した施策」と「現場のSVが本当は実施して欲しかった施策」について取り上げたいと思います。
冒頭のグラフが全国のSVに聞いた意識調査の結果です。会社(現場)で実際に実施された施策としては当然ですが、「席の間隔を空けてソーシャルディスタンスを保つ:70.9%」、「ヘッドセットなどの共有ツールを専用にする:43.6%」が高い実施率になっています。ちょっと微妙な結果が「正社員の一部を在宅勤務に移行した:41.3%」がありますが、非正社員である派遣社員・委託先の非正社員などは在宅勤務の対象としないコールセンターが非常に多かった事です。現場から聞かれた声として「正社員のSV・管理職だけ在宅勤務とか、ありなんですか?自分たちの事をどう考えているのか?」、「在宅勤務はしたいけど、ただでさえ助けてくれない正社員さんが在宅になってサポートしてくれるとは思わない!」という現場管理者に対する不信感の声が結構あったそうです。
本当は実施して欲しかった要望の一番が「出勤しなければならない社員に対するメンタルケア:25%」に代表されるように管理者と現場で働く非正社員・委託先の社員との意識のギャップを感じます。在宅勤務できないばかりか、無理して出社して勤務している不安な気持ちにも寄り添ってくれないとなると、モチベーションは低下するばかりです。エンゲージメントという言葉が良く聞かれるようになりましたが「従業員が会社に寄せる愛着心や思い入れ」という意味ですが、働く従業員がエンゲージメントを感じられないコールセンターでCX(カスタマーエクスペリエンス)を実現するのは難しいのではと思います。
次に、在宅勤務に移行できなかった理由として、「個人情報の取り扱いの問題」、「ITソリューションが導入できなかった」、「エスカレーション対応ができない・難しい」の3つが(予想通りの結果ですが)大きく回答されていますが、マネジメントが現場を信用していない(メンタルケアもまともにできない)、現場のオペレーターもマネジメントを信用していない環境では、多分この物理的な問題がクリアーされても、在宅対応が上手く機能するのは難しいと思います。今年を通して聞かれる声としては「今後のコールセンターにおいて在宅勤務環境を選択肢として加えるのは待ったなしなのでは無いか・・・」という声です。在宅体制と言っても松竹梅がありますので、完璧なリモート体制から、メールのみ対応など様々ですが、多分来年になるとコールセンターのオペレーターの職場選択肢として「在宅勤務体制の選択肢があるかどうか?」が採用募集に応募する上で重要視されてくると思います。冒頭でも書きましたように“正社員だけが在宅勤務できる職場”は当然のごとく敬遠されていくと思います。在宅勤務については「やるか?やらないか?」の議論から、「どの程度の体制と運用で在宅勤務を可能とするのか?」の議論に移ってくると思います。その際には物理的なシステムとか情報管理の運用ルールの整備のみならず、「現場のメンタルケア・エスカレーションサポート」などマインド面のサポート・不安感の払拭も重要ですので、この観点の意識を持ってもらいたいと思います。
いよいよ今週11月12日・13日はCRMデモ&コンファレンスIn東京が池袋で開催されます。
11月12日の13時から開催の「伝説のセンター長が語るアフターコロナのマネジメント」はお陰様で既に満席により事前登録は終了しています。当日は空き席があれば入場できる状況ですのでご了承下さい。
⇒ コールセンター白書2020に興味がある・購買希望の方は下記を参照して下さい。
ここをクリック
2020年11月09日 13:35