Vol.53 コールセンター白書2019から見るコールセンターの今! <その3>
今回は、まだ実施していないが「今後実施予定の離職予防施策」のアンケート結果について紹介します。これから実施予定の対策についても「業務に対する評価とフィードバックを強化する」:20.9%がトップで、次に高い割合なのが「研修など人材教育プログラムを充実」:17.3%と、やはり教育に注力しているセンターが多い傾向のようです。ただし、気になるのは「無回答」:27.3%にあるように、全体的にチェックする項目数が少ない割に「無回答」が一番多い割合という事は、もしかしたら「次の一手」が見いだせずに「何をやっても効果が無いと諦めている?」、「手詰まりの状態?」の可能性も感じさせます。
これをやったら絶対に離職に効果があると言われる特効薬が存在しないだけに、管理者の皆さんも頭を悩ませている問題ですが、これをやったらダメというNG行為は沢山あります。
その代表的なケースは、繁忙期の詰め込み短縮研修でのデビューですが、繁忙期に離職が相次ぎ・緊急に新人採用を行うと、通常:2週間かかる研修を1週間に短縮して促成栽培しようとするケース。ミニマムスキルとアドバンストスキルをきちんと分けて、定型多件数の案件に絞って研修を実施、その結果として研修期間が短縮されていれば良いのですが、通常研修を無理矢理短縮して理解度チェックもフォローも無いまま現場デビューされてしまって、結果的に新人離職を悪化させてしまうケースです。現場が忙しいので心理的に分からないわけでは無いですが、これは悪手の典型的なケースです。
また離職予防の観点から、絶対に欠かせない取組が「メンタルケア」だと思います。コールセンター白書のデータからも「産業医など専門家と契約し窓口を設置している」の回答企業が44%になっており昨年の29%よりも大幅に増加しています。
次に「ストレスチェック義務化法」への取組についても「非正規社員を含めたストレスチェックを実施」が41%、「正社員のみを対象に実施」が35%となったおり、一応の取組は実施しているようである。
前回も書きましたが、コールセンターは肉体的な負荷よりも精神的な負荷が高い業務になりますので、その観点での取組(リフレッシュルームの充実・コミュニティ形成の仕組み・孤立しない仕組みなど)で効果を発揮しているセンターも少なく有りません。
最近ではカスタマー・ハラスメント(カスハラ)という言葉も定着しつつあり、悪質なお客様からのクレームに対する対応姿勢なども変化してきています。
現場マネジメントの終わり無く取組は続くと思いますが、「メンタルケア」への配慮はマネジメントとして最優先で取り組むべき課題と言えます。