Vol.33 離職率の高いコールセンターと低いコールセンターとの違いは何?
前回までシリーズで早期離職してしまう4つのギャップについて説明してきました。では、離職率の高いコールセンターと低いコールセンターではいったい何が違うのでしょうか?
(参考)右記はベルシステム24の採用募集記事にあった休憩室の写真です。
【離職率の高いコールセンターの共通点】
・テクニカルサポートよりも、一般相談・クレーム対応の比率が多いコールセンターは、やはり離職率が高い傾向にあります。テクニカルサポートでも相当高度なスキル・知識が必要だと離職率も高くなります。一般相談系の場合は、逆に覚える情報は多いのに単純作業にマンネリ化が発生してくるので長続きしない傾向があります。そしてクレーム対応の比率が多いとどうしても離職率が高くなります。特に電話の特徴として目に見えないお客様は対面接客に比べてクレームの度合いが格段に厳しくなります。私も過去に何度も「謝りに来い!」と怒鳴られ、謝罪訪問の経験がありますが、電話口であんなに怒っていた方でも謝罪訪問をして対面で接すると、それでも怒りを表す方はまれです。それだけ電話対応のストレスは相当なものです。*難しくて覚えるのが大変!
*逆に覚える事沢山だが単純作業すぎてマンネリ!
*クレーム対応など精神的にきつい!
という状況をいかにして知識フォロー、メンタルフォローしていくかが重要ですが、離職率の高いセンターでは少なからずこれらの状況を放置しているケースが多いようです。
・採用面で言うと、新規オープンでも無いのに毎回10人・20人規模で大量に採用しているコールセンターは要注意ですね。これは人の出入りが激しい=離職率が高いセンターの特徴の一つです。また、採用の職制もアルバイトを大量に採用をしている場合も要注意ですね。最近では地域限定正社員など正社員枠で採用するコールセンターも増えてきていますが、大量のアルバイト採用を続けているのは、使い捨て意識が高く現場の教育・管理が今ひとつの可能性が高いです。
・そして、離職率の高いコールセンターの最も共通する事項は、教育・メンタルフォローをおろそかにしているコールセンターですね!
前回にも書きましたが、十分な会社説明・業務説明も無いままベルトコンベア式の研修が始まり、一定の研修が終了したら、すぐに現場に投入され右も左もわからない状態なのに、SVは現場を回すので手一杯で新人フォローする余裕も無く、放置されているケースです。このような状況を聞くと今時そんなセンターは少ないのでは・・・と思われるでしょうが、ここ数年の間で私が見てきたコールセンターの半数以上はこのような状況でした。センター長含め・管理者の方々に意見を聞くと「新人フォローもフォロアップ研修、メンタルフォローもやりたいが、現場が忙しくて手が回らない・・」という返答が一番多いです。
【離職率が低いコールセンターの共通点】
逆に離職率が低いコールセンターは高いコールセンターの裏返しのような状況です。① :テクサポ・課題解決系のセンターでスキル習得・学びの環境がある職場
② :教育体制・フォロアップ体制が整っている
③ :職場環境が整っている(福利厚生やリフレッシュルームなど)
専門性の高い職場(PCサポート系・損保、生保、証券など資格が必要・業界特化の専門知識系)では、そもそも入社時点である程度のスキル・知識が必要になりますし、モチベーションとして、○○に興味がある、○○のスキル・知識を学んでいきたいなど意欲が高いので、漠然として入社してくる一般相談系コールセンターよりも格段に離職率は低い傾向にあります。
また、このような業種のコールセンターでは新人教育・フォロアップ制度・メンタルフォロー制度もしっかりしているケースが多く、ドロップアウトを最小限に防ぐ努力を怠らずに行っているケースが多いです。
福利厚生なども正社員と遜色ない福利厚生(色々な補助制度やリゾートホテルなどにも格安に泊まれる権利など)を提供される事も珍しくありません。リフレッシュルームも癒やしの壁紙やフリードリンクサービス、最近ではマッサージチェアーや専属のマッサージ師を配備しているセンターもあります。
まとめると、離職率の高いコールセンターではセンターの管理・運用自体に問題がある場合が多いです。「人材育成・教育に力を入れない⇒場当たり対応を繰り返す⇒応対品質が下がる⇒クレームが多発⇒クレーム対応に疲弊して辞める」悪循環です。
一方で離職率が低いコールセンターでは人材を大切にする意識が高いです。教育・育成・メンタルフォローに割く時間が多いので、オペレーター、SVも会社への帰属意識が高まります。ただ単に豪華なリフレッシュルームを構築するのが重要では無く、働くオペレーター・SVへの「おもてなしの心=エンプロイー・エクスペリエンス」の気持ちが大切と思います。