Vol.51「コールセンター白書2019」から見るコールセンターの今! <その1>
昨年もこの白書データの私なりの考察を「さつき先生ブログ」の中でシリーズでお伝えしましたが大変アクセス数の多い人気ブログでした。今年も「コールセンターの今!」を知る上で参考になるデータや現場のアンケート結果から見えるトレンド推移・色々な課題など有益な情報が満載ですので、今回から複数回に渡りシリーズで独自考察も交えてお伝えしていきます。
冒頭のグラフをご覧ください。過去11年間の採用時時給の全国平均の推移のグラフになります。
過去11 年の時給推移を見てみると、2008年9月のリーマンショック直後から全国平均時給は下降を続けて、景気回復基調に転換してきた2014年以降、上昇基調に転じています。今年は一見高止まりのように見えますが、このまま来年以降も下がり続けるのか、落ち着くのかと言うと、日本の労働人口が今後劇的に減少し続けることを踏まえればその可能性は低いと言えます。
今年に関しては2018年問題といわれた、5年以上働いた契約社員や3年以上働いた派遣社員の無期化が進んだ影響で、新規の時給制募集については瞬間的に落ち着きを見せたという一過性のトレンドである可能性が高いです。
皆さんも直接の現場の肌で感じているように全国的な採用難は深刻です。
一昔前の感覚で、コールセンターのオペレーターは派遣・アルバイトで安く調達できる!や地方にコールセンターを創ればコスト削減になるという時代は終わりを告げています。全国的に採用難は深刻で、地方拠点を新規開設する目的はコスト削減よりも人材確保にシフトしています。企業誘致を行う地方自治体の方に話を聞いても100席200席という大規模案件は期待に応えられないと口をそろえ、30席ほどの小規模センターを積極的に誘致しようとしているという状況です。ここ数年この運営方針に失敗し、地方拠点から撤退しているセンターもいくつかあるのが実態です。
「コールセンター白書2019」の中では今後のコールセンター運営で取るべき手法として次ぎの4つが重要と位置づけています。
①:正確な業務量を予測するアナリティクス能力を持った人材育成
⇒ここは経験値・分析力・調整能力が求められます。この稼働管理のスペシャリストを配置していないセンターが非常に多いのが実態のようですので、50席を超える中規模センター以上になったら真っ先に考えたいポジションです。
②:①で算出した業務量に平均的に対応できるコア人材として無期雇用、正社員採用を進め定着率促進に努める
⇒離職対策とも直結しますが、場当たり有期雇用人材での安定運用はほぼ不可能に近いと思います。
③:求人に対して反応のよいメール、チャット対応の採用と拡充
⇒ここは業種業態によって対応方針が異なりますので、各社の戦略に沿った考えが求められます。
④:同時に業務量を平準化するための仕組み(AIなどの最新テクノロジーを駆使したセルフサービス化、エフォートレス化)の導入
⇒ここは100席を超える大規模センターであれば待ったなしの課題です!構想から実施・効果がでるまで時間がかかるので早期の着手が必要
場当たり的に派遣会社やテレマアウトソーサーに増員を依頼して安定的に運用できる時代は終わったことを念頭に入れて、より高度かつ中長期的な観点での人材マネジメントが求められます。
「コールセンター白書2019」では全国を北海道・東北・関東・東海・関西・・・四国・九州・沖縄など細かくエリア分けされ、業種別の時給推移も掲載されています。更にはチャネル別時給(電話のみ、電話+メール、電話+メール+チャット、メールのみ、チャットのみ・・・など)も細かく分類されていますので、自社の時給設定や募集要件の確認などにも参考になります。
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2019年11月04日 18:00