Vol.56 コールセンター白書2019より SV/リーダー意識調査 <その6>
さて、「コールセンター白書2019」からの考察も今回で6回目になりますが、今年最後はコールセンターの要である「SV/リーダーの意識調査」を取り上げてみます。
今年5月に全国のSV/リーダーを対象にリックテレコム社でアンケートを行い246名から得た回答結果です。属性に関しては冒頭のグラフをご覧下さい。
なんとなく「コールセンターで働く社員=女性」のイメージが強いですが、SVに限っては男性が42%も占めている事から決して女性に特化した仕事では無いというのもわかります。
年齢は30代・40代で全体の64%を占めており勤続年数10年以上が約40%を占めていますのでベテランが多い印象です。雇用属性も正社員(地域限定含む):67%、契約社員:21%ですが、派遣社員:4%、パート/アルバイト:1%とあるのは比較的小規模センターに限った事情だと思います。
今回のデータには出していませんが、年収でいうと月収は20~25万円が最多層で、年収は400万円前後が最も多いという結果が出ました。ただし年収の格差も大きく、上は年収:650万以上が12%もありますが、下は年収250万以下という回答も11%ありました。勤務している会社が大手金融機関などではSVの年収も比較的高めになる場合がありますし、地方の小規模センターでは低めになる場合もあるので、一概に比較はできませんが、私の印象としてはSVの担当している職務内容・範囲・責任の重さを考えると相対的には報酬は少ないケースが多いと思います。
次になぜコールセンターで働くようになったのかを聞いたところ、決め手は「場所」というのが一番多かったのは例年と変わりませんが、今年は減少し半数を割りました。
代わりに給与を決め手とした回答者が多くなっています。働きやすさだけではなく、やりがいやよりよい待遇を求めてコールセンターに就業したSVの割合が高いようです。その他の内容も、居心地の良さや家庭との両立など、働きやすい環境を評価して就業したケースだけではなく、前職ではうまくいかなかったのでリベンジをはかったという声や立ち上げ業務でやりがいを感じたという前向きな回答もありました。
「給与や柔軟な働き方が可能」という理由が増えている結果であるが、昨年の改正労働契約法・改正派遣法による無期雇用化・昨今の働き方改革の流れによって、正社員化や待遇改善・職場環境改善が進んでいるようにも見受けられる。
残業についても、「残業が多くて辛い」は13%に留まり、「休暇・休息は十分に取れている」という回答がほとんどであった。この点でいうと、残業の改善が進んでいないセンターは人材流出のリスクが非常に高いという認識を持った方が良い。今後の継続意思について聞いた設問でも、「残業が多くて辛い」という回答の方の継続意思は非常に低いのに対して、「休暇・休息は十分に取れている」という方の継続意思は非常に高い結果になっています。
全体的に働き方改革はすすんでいる印象であるが、2020年4月からは「同一労働同一賃金」の適用が開始される予定ですので、同じ業務をしている正社員、契約社員、派遣社員、パート/アルバイトが混在している事も珍しくありませんので、早急に業務整理、人事評価体系・報酬整理を含めた抜本的な整備が必要です。今、12月の時点でまだ未整備のセンターは早急に体系を固めて現場にアナウンス出来る準備を整えることが必要です。
最後に、今回が今年最後の投稿になります、今年1年間に30回の新規投稿しましたので月2.5回平均になります。来年は月平均3.0回以上の投稿できるよう、現場でためになる情報や最新システム、センター訪問探訪の特集もしていきたいと思います。
また来年もコールセンターに特化したブログを展開していきますのでよろしくお願いします。