Vol.26 「CRMデモ&カン」のお勧めシステム “音声認識&要約力&AI”
ちょっと「コールセンター白書2018」の考察を一休みして、11月に開催されましたCRMデモ&カンファレンスin東京からのお勧めシステムの紹介を今回してみます。
今年のCRMデモカンでもトレンドは「AI」、「チャットボット」、「音声認識」、「FAQ」に関する最新のシステムを各社で紹介されていました
そんな中でちょっと私がこれは!と目を引いたシステムがありましたので紹介したいと思います。「TRAINA VOICEダイジェスト」という野村総合研究所(NRI)のシステムです。
簡単に言うと、オペレーターがお客様と会話している内容を、音声認識+AI技術で自動でテキスト化して、本来「後処理」で履歴入力する作業を自動的にテキスト化=要約してくれるシステムです。後処理時間の短縮に大いに貢献してくれるシステムです。
NRIの人工知能(AI)と自然言語処理技術(NLP)を組み合わせて対話を要約していきます。
要約レベルも事前に設定が可能です。全文テキスト化の100%とか簡易要約20%とか設定できるので、詳細に残したい場合には%を上げて、簡易版の履歴で良ければ%を下げて調整するなどが可能です。
ご興味のある方は下記を参照して下さい!
https://www.traina.ai/solution/voicedigest/
過去のブログでもAHTの削減効果のシミュレーションについては説明しましたが、例えば月間:10万件のコールを処理しているコールセンターがあるとすると年間で約120万件のコールを処理する事になります。今年度のAHTの平均が10分30秒の場合、翌年の平均AHTを30秒短縮するだけで約1000万円のコスト削減効果になる計算を説明しました。
これが2分・3分と短縮されていけば、数千万・1億円を超えるコスト効果をもたらしてくれます。
ここ数年はどこのコールセンターでも製品・サービスの多機能化、携帯電話なども料金形態の複雑化など、年々AHTは増加傾向ではないでしょうか? 更に、採用の悪化、離職の増加で新人割合が増えれば更にAHTの悪化に拍車をかけてしまいます。(特に今のスマホ世代の若者はキーボード操作に慣れていないので、ベテランに比べて圧倒的に後処理のキーボード入力が苦手です)
このNRIの「TRAINA VOICEダイジェスト」は、まさにそんなAHTの長時間化傾向を解消する上では最適なシステムでは無いでしょうか? 以前から「Voice to Text」というツールで音声を文章化するシステム・ツールなどありましたが、AI技術も取り入れ・自然言語処理技術も向上し、音声認識率も格段に向上してきていますので、これはかなり使えるシステムだと思います。
ただし、当然ながらシステムの初期投資や毎年のメンテナンス費用、最適なテキストにしていくためのナレッジの精査など運用面でも結構なコストがかかってきます。
そのため数十席規模のコールセンターには費用対効果としてはどうか?という点はありますが、100席、200席の大規模コールセンターではかなり費用対効果は出るのではないでしょうか。
NRIのこのシステムを実際に導入した某金融A社(300席)はこのシステム導入でAHTの後処理時間を50%短縮した事で、人件費換算で約1.8億円ものコスト削減を実現したそうです。
ここ数年の傾向として、現場の運用努力だけでAHTを短縮化しているコールセンターは数少ないと思います。先ほども説明したように製品・サービスの多機能化・高度化、顧客の高齢化、離職の悪化による新人割合の増加などAHTの上昇要因は沢山ありますので、特に大規模コールセンターにおいてはこんなシステムの検討も有効化と思います。