Vol.29 コールセンターの離職問題を考える。最初の90日の過ごし方 <その1>
2019年 新年1回目の投稿になります。(年始に仕事用パソコンが壊れ、初期化でも直らず、業者預けになり2週間以上かかりやっと復活しました。データ復旧費・その他修理費で新しいPCを1台買えるぐらいの出費に!新年早々、痛い思いをしました。)
さて、新年初回のブログですが、やはりこのテーマから始めたいと思います。コールセンターの離職問題です。コールセンターの専門誌を発刊しているリックテレコム社の「月刊コールセンタージャパン」の2019年1月号でも特集記事は「早期離職を防ぐ!最初の90日の乗り越え方」になっています。
冒頭のテキストをご覧下さい。私がコールセンターへのアセスメント調査報告の際に説明する資料の1枚です。コールセンタージャパン誌同様に現場デビュー後90日の重要性を説いています。初期研修途中に離脱する方もいますが、多くの場合は「研修終了して着座後の90日の間で辞めていくケース」が多いというのが大体共通する状況だと思います。2019年1月号のコールセンタージャパン誌によると、コールセンター実態調査の「回答企業の22%が離職率71%以上」と回答しています。その年に採用した人材の30%も年末には残っていないという状況のようです。更に実態調査や取材で深堀ると「概ね90日以内での離職が大半であり、OJTから一定期間を経過したオペレーターは簡単に辞めない」と書かれています。この「最初の90日」をどう乗り切るかが大きなセンター運営の鍵がある事は間違いないようである。1月号のコールセンタージャパン誌では、「早期離職を招く4つのギャップの正体と対策」、「先進企業の取り組み事例」など10ページに渡って特集記事が書かれていますので、是非定期購読されている方は、熟読または読み返してもらいたいです。非常に参考になる記事になっています。
今回は、研修終了して着座後90日の前段階である採用フェーズに少しフォーカスしたいと思います。以前に書いたことがありますが「コールセンターの仕事は簡単です。誰でもできます。」というキャッチフレーズで採用をしていませんか?!果たして、コールセンターのオペレーターは誰にでもできる、簡単なお仕事なのでしょうか?
実際にコールセンター現場で電話を取った経験・アウトバウンドで架電した経験のある方はわかると思いますが、一定の専門知識を生かして、毎日・毎日何十人の方(若い方も高齢者の方もいて、クセのある人・気難しい方など多種多様)とのコミュニケーションを行う事は、誰にもできるという程、簡単では無いと思います。特にコミュニケーション能力というのは、持って生まれた個性もあるので、人と話すのが上手な方もいれば、知識を覚えるのは得意でもその内容を人に伝える能力が劣る方もいます。でも実際にはコミュニケーション能力が苦手と思っている人でも、「誰でもできる!」とハードルを下げた広告募集と少し高めの時給・給与に目がとまり、採用から教育そして着座して電話を取る・掛けるというベルトコンベアの流れに乗ってしまっています。結果的に、自分には合わない・苦痛であるという理由から早期離職に繋がるケースも少なくないと思います。
直接雇用の場合は、面接というフィルターを通してこのコミュニケーション能力を推し量る事もできますが、派遣社員の場合は、人材要件は伝えるものの、来て見ないと分からない事になりますので、そこは出たとこ勝負の状況です。現実的には、十分な採用の母集団が無いので、ハードル下げて採用せざるを得ないというお家事情もあるかと思いますが、採用におけるミスマッチを少しでも減らせる工夫はトライし続けなければならない時代だと思います。
次回以降は、冒頭のテキストの「研修プロセス」、コールセンタージャパン誌でも書かれている「採用側と応募者側のギャップ」について書いていきます。