Vol.37 CC最新システム紹介 ~対話型音声認識IVR~ その3
前回は応対履歴入力の簡素化という機能で、「Voice To Text」+「AI機能」+「要約機能」のシステムを紹介しました。
今回は、「自然発話×意図理解」の対話型の音声認識IVRの紹介です。
まず下記のYoutubeの音声認識デモ音声をお聞き下さい。特別にニュアンス・コミュニケーションズ様からお借りしたデモ音声です。
(音声が出ますので、周囲の状況を確認した上でクリックして下さい)
https://youtu.be/vtoN8lSg_Vg
アメリカン航空で実際に使っている音声認識IVRのデモですが、システムの音声とお客様との会話の間のタイムラグがほとんど無く自然なやり取りと感じるはずです。これは、かなりチューニングした結果だそうですが、このクオリティーレベルであれば実際の現場で使用できる領域まで来ていると思います。
従来のプッシュトーン型のIVRでは「XXXの方は1番、△△△の方は2番を押して下さい」といったガイダンスを延々と聞くことになります。階層が深い場合など、操作ボタンを1度間違えると、また初めに戻ってやり直しや・希望の窓口に繋がらなかった場合にはまた転送されるなどたらい回しが発生する事もあります。特に高齢者の方にはこのプッシュトーン型のIVRは不評ですね。
しかし、ニュアンス・コミュニケーションズの「対話型音声認識IVR」では、こうした煩わしさが解消されるようです。
利用者が自然発話で用件を伝えると、自然言語処理技術で意図を理解し適切な対応を行います。例えばFAQによる自動回答や、適切なオペレーターへのルーティングなど、あたかも有人オペレーターのように一次対応を行ってくれます。対応がスムーズになる事で通話時間の短縮にも貢献し、顧客満足の向上と運営コストの削減を同時に実現できます。
また声紋認証機能を併用することで、さらに活用範囲が広がります。声紋は個人特有の生体情報を利用するため、従来のパスワードやPINのような盗難や推測されることもありません。なりすましに強く・パスワードを忘れてしまった!という事もなくなります。(現在は非常に多くのパスワード・PINを覚えていないと、電話操作の際にうっかり忘れたという事は私も時々遭遇しますので、自分の声紋認証で事前登録・本人確認してくれると非常に助かります。)
声紋認証という安全かつ簡単に本人確認が可能になるため、特に金融サービスをはじめとした厳重なセキュリティ管理に最適です。
こちらの音声認識IVRシステムの詳細については下記を参照して下さい。
https://callcenter-japan.com/it-search/2974.html
音声認識IVRで一次対応を自動化し、本人確認も声紋認証で自動化する事で、現在の処理時間も2分~3分の短縮に貢献すると思います。
前回も書きましたがAHTの削減効果のシミュレーションとして、例えば月間:10万件のコールを処理しているコールセンターがあるとすると年間で約120万件のコールを処理する事になります。今年度のAHTの平均が10分30秒の場合、翌年の平均AHTを1分短縮するだけで約2000万円のコスト削減効果になる計算を説明しました。これが3分ともなれば、約6000万円のコスト削減効果も期待できます。
今回の対話型音声認識IVRと声紋認証機能は、現在社会問題になっている「オレオレ詐欺」、「振り込め詐欺」にも絶大な効果を発揮するのではと思います。国策として、地方自治体などで高齢者対象に、事前に家族・子供の声紋を登録しておけば「俺だよ!」と言っても、その時点で「声紋で認証されず!」とその後の振り込め詐欺を撲滅できるのではと思います。そのような対策が実現化するのも、そう遠くは無いと思ってしまいます。
“音声認識機能”や“Voice To Text”は今ではスマートフォンで日常的に使われている機能ですので広く利用者にも馴染まれた機能です。コールセンターの運用でも単にプッシュ選択型のIVRの時代もそろそろ時代代わりしても良いと思います。
次の時代では「音声認識」+「感情解析」で、自然発話の用件と声の感情分析によって、高齢者の優良顧客は○○さんへ、怒っている癖のある方は初めからベテランの△△さんへと最適なオペレーターへのルーティングが実現される時代もすぐそこかもしれません。
2019年04月01日 20:35