Vol.23 コールセンター白書2018から見るコールセンターの今! <その3>
引き続きリックテレコム社から発刊されている「コールセンター白書2018」からの考察を独自視点も入れてコメントしていきます。
前回まで「採用が厳しいなら・辞めないコールセンターにしよう!」というテーマで書きましたが、今回は、採用難が叫ばれている昨今ですが、「現在のコールセンター採用時の時給相場・状況がどうなっているか!」をコールセンター白書のデータから見ていきます。
冒頭のグラフを見て下さい。コールセンタージャパン編集部の独自調査ですが、過去10年を見ても平均時給は4年連続で上昇し、今年は1262円になっています。電話受付の需要はあるけど、「単純労働でキャリアップにつながらない」、「クレーム対応が多くてストレスが多い」と敬遠しがちな状況を背景に、企業側が採用時の時給を引き上げざるを得ない状況が続いています。
エリア別に見ると、特に上昇傾向の強いのは関東エリアと沖縄県。沖縄県は調査以来初めて平均時給が1000円を超え、最低賃金も800円台に突入したようです。
主要なコールセンター集積地で見ると、札幌市と福岡市が平均時給が下がり、仙台市・那覇市は上昇になっています。札幌市と福岡市の平均時給が下がった背景は、昨年まで時給の高い案件の会社で正社員化が進み、比較的安い募集案件での母数平均になった事が背景にあるようです。
今後は仙台市・那覇市を含め、全国でオペレーター・SVの正社員化が進み、同様の傾向が表れると予想されています。
今の採用難は、一時的・局地的な現象では無く永続的で全国規模で起きている現象であり、時給を多少上げたところで十分な人材確保ができるエリアはもはや無い状況のようです。
一部のテレマーケティング・アウトソーサーでは地方での時給高騰もあり、人件費がそれほど変らないのであれば、地方で苦労して人集めするよりも首都圏で豊富で優秀な人材を採用した方が良いと首都圏回帰現象があるようです。実際に、知り合いの会社も地方拠点の拡大路線を止め、最低限の一定数の規模に留めて、今後の拡大は首都圏で行う方針に転換したそうです。
コールセンターの性質として、受付拠点のBCP対応の観点もありますので、地方拠点を締めて、首都圏のみに一極集中するとなるとそれはそれで問題だと思います。
2000年代初め頃から地方進出が相次ぎましたが、当時の目的は「人件費の削減」が第一だったと思います。しかし、今の状況下では、単純に人件費の削減を目的に地方拠点をどんどん拡大していくには厳しい状況です。
更に、今年は「改正労働契約法」と「改正労働者派遣法」が実施され、コールセンターにおいても今後は有期雇用から正社員化の流れが加速しますので、企業もコールセンターを「人件費の削減目的に地方拠点を構築する」事から、戦略の見直しが迫られてくると思います。
今回の考察コメントは「コールセンター白書2018」から多くの引用をしていますが、「コールセンター白書2018」には冒頭のデータ以外にもエリア毎、業種毎の豊富な調査データがありますので、今後の採用戦略・拠点戦略を見直す意味でも大変参考になります。